内容説明
今やわれわれの日常生活に氾濫している縞模様は、ヨーロッパ中世においては売春婦、死刑執行人、旅芸人などが身につけた異端のシンボルだった。中世から現代までの長い時間に、この模様がいかなる意味の変遷を経てきたかを跡づけるユニークな歴史書。
目次
第1章 縞模様の衣装をつけた悪魔(十三~十六世紀)(カルメル修道会のスキャンダル;縞の布地、悪い布地;聖ヨゼフの股引;無地、縞、散らし模様、斑紋;図柄と地―縞の紋章学)
第2章 横縞から縦縞へ、そして逆転(十六~十九世紀)(悪魔的から従属的へ;従属性からロマン主義へ;革命的縞模様;縞と罰)
第3章 現代の縞模様(十九~二十世紀)(衛生の縞模様;マリンブルーと白の世界;奇妙なシマウマ;縞の面、危険な面;痕跡から目印へ)
著者等紹介
パストゥロー,ミシェル[パストゥロー,ミシェル][Pastoureau,Michel]
1947年パリ生まれ。古文書学校卒。高等実習研究院教授。紋章学を専門とするが、動植物の歴史や人間と色彩の関係史など幅広い研究対象で知られる
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感想・レビュー
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kasim
31
曖昧さゆえに西洋で否定的・劣等的なものとされた縞模様(今も囚人服のイメージが残る)は、早くも14世紀には伊達男が身に着け始め(元祖パンク? このこと自体ペストの影響が考察される)、アメリカ独立で反骨の印として定着した(星条旗や三色旗)。19世紀になると今度は衛生の概念と結びつき、音楽との関係も深い。次々と視点を変えて流れる文章はまさに縦横自在で、西洋の象徴体系に関する底知れない知識と創造的な発想の両立にうっとりする。2018/09/22
魚京童!
12
とっちらかってた。縞にも種類があると思うけど、それすら分類せずに、思うがままに書いていた。それでもいいと思うけど、読みずらい。だから何?何がいいたいの?って思う。好き勝手書くのも自由だけど、そしたら出版しなくていいじゃんって思う。そういうわけにもいかないんだろうね。しょうがないよね。2020/03/10
梟をめぐる読書
6
かつて中世において縞模様は異端を表象する悪魔の模様であったのであり、そうした象徴化の作用はパジャマの柄として広く普及した現代においてさえ(たとえば囚人服の縞々や交通標識のなかに)多義的にではあるが認められるのだ――という主張を、120頁程の内容でコンパクトに纏めた一冊。しかし論の運びの不味さもあって著者の主張するように安易に「元型」や「想像界」への参入を想定する気にはなれず、むしろ縞模様は現代ではすでに「脱象徴化」を果たしたのではないか、と思った。2012/07/28
kazu_tea
5
西欧世界の中で縞模様の持つ意味がどのように変わってきたかが論じられている本。これから西洋絵画を観るときには、縞模様の衣装にも注目してみようと思いました。2011/08/11
蘇芳
1
差別柄だったんか2008/12/08