出版社内容情報
百塔の町、ヨーロッパ建築様式の博物館といわれる古都プラハは、多くの作家、詩人、音楽家などを輩出した芸術の都としても知られ、ビアホール、カフェ、そして古本屋の文化が花開いた。この町に学び、暮らし、この町を人を知悉し、愛する著者が「ビロード革命」後の変化もまじえて、その魅力を描く。
内容説明
百塔の町と呼ばれる美しい古都プラハは、多くの作家、詩人、音楽家などを輩出した芸術の都としても知られ、ビアホール、カフェ、そして古本屋の文化が花開いた。かつてこの町に学び、暮し、この町と人を知悉し愛する著者は、今もしばしばこの町を訪れる―常に3つの目的を持って。1つは様々だが、あとの2つは変らない。おいしいビールを飲むことと、古本屋を巡ることである。
目次
プラハの江戸っ子屋
ビールへのこだわり
チャペックとビールのチェコ
プラハのコーヒー店
激動チェコの出版事情をみる
プラハ今昔
変貌するプラハ古本屋マップ
プラハ古本屋巡り一筆書き
チェコ紋章学散策
紅葉のプラハ
愁いに沈む人間クンデラ
プラハで見つけたペンギンの話
二つの動物園
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
財布にジャック
59
ビールと古本どちらにも惹かれて、これはもう読むしかないと手に取りました。この本にはプラハのビアホール「黄金の虎」がたびたび出てきます。一見さんお断りのようなので、言葉も話せないし勇気もないので店の前を通るだけで終わってしまいそうです。まぁ勇気以前にプラハでは自由時間がないので今回は行くのは無理なんですけど~。物凄く美味しいビールが飲めるお店のようなので、いつかは行けると良いなぁと憧れます。ガイドブックばかりでなく、こういうエッセイも魅力的で楽しかったです。2013/06/05
長谷川透
27
チェコの作家と言えばクンデラが一番有名かもしれないが、古典作品の著者であればチャペックがいるし、亡くなってしまったがフラバルもいるから、クンデラを読んだだけでチェコを知った気になってはいけないなと再確認した。まずはビールのお話から始めて読者をほろ酔い気分にさせておいてチェコの文学蘊蓄を語り倒す。軽過ぎず重すぎないよい文章だ(なるほどビールというお酒も軽過ぎず重すぎない素敵な飲み物だ)。しかし美しい景観と文化を持ちながらも、この国が背負ってきた歴史は街並みから抱くイメージとは裏腹にかなり重いのだよね。2013/11/01
zirou1984
20
お気に入りのビアホールで舌鼓を打ち、馴染みの古書店で本を探す―優れたスラヴ言語学者である著者がエッセイとして語るチェコの景色はビールの要に軽妙で魅力的でありながら、ビロード革命を挟む時期に執筆されたことによってチェコの歴史性をも描き出す。社会主義から資本主義への移行時における古書店の変容も興味深いが、ハシェクやフラバル、そしてミラン・クンデラといったチェコ出身の作家にまつわるエピソードは当時に検閲に関わる点も多く、この国が背負ってきたものを改め教えてくれるのだ。2018/04/10
三柴ゆよし
13
著者はチャペックやクンデラの翻訳者として有名な千野栄一先生。チェコ人のビールに対する情熱の深さがうかがえる一冊。愛すべきチェコのビールと古本屋にまつわる蘊蓄に加えて、決して軽くはない歴史の流れのなかに置かれた都市プラハと著者をとりまく友人たちとのあたたかい触れ合いが、軽妙洒脱な筆致で語られている。読んでるとなにもかも放り出して、プラハまでビール飲みに行きたくなってくる。フラバルやクンデラとの交流についても随所で語られており、都市プラハの街並みに惹かれる人はもちろん、東欧文学好きにもオススメの本である。2012/02/27
Christena
11
著者は『存在の耐えられない軽さ』の翻訳者。ビールも古本も大好きなので、タイトル買いした本。プラハのビアホールはは曜日によって顔ぶれが違うとか。住んでいた人ならではの、プラハの街やチェコ人の魅力がぎっしり詰まったエッセイ。U Zlateho Tygraでビール飲みたくなった。2015/02/13