出版社内容情報
ロシア・アヴァンギャルドの終焉に燦然と輝くハルムスの超短篇集。「ロシア文学」のイメージを覆す、軽さ、ユーモア、ノンセンス。
内容説明
新訳10篇からなる“アンコール、ハルムス”を加え、待望の復刊!
目次
『出来事』(青いノート No.10;出来事;落ちていく老婆たち ほか)
ハルムス傑作コレクション(“ひとりの男がいた”;交響曲第二番;“親愛なるニカンドル・アンドレーエヴィチ…” ほか)
アンコール、ハルムス(“私がどんなふうに生まれたか、話そう”;孵卵器の時期;“コケドリについてお話ししましょうか?” ほか)
著者等紹介
ハルムス,ダニイル[ハルムス,ダニイル] [Хармс,Даниил]
1905年ペテルブルク生まれ。ロシア・アヴァンギャルドを代表する作家のひとりで、不条理文学の先駆者
増本浩子[マスモトヒロコ]
1960年生まれ。神戸大学教授。専門はドイツ文学
グレチュコ,ヴァレリー[グレチュコ,ヴァレリー] [Gretchko,Valerij]
1964年生まれ。東京大学特任准教授。専門はロシア文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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燃えつきた棒
41
『ハルムスの世界』を読んだ。 表紙の絵が素晴らしいのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 岸本佐知子が帯を書いてるのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 「海外小説 永遠の本棚」の一冊なのだ。 『ハルムスの世界』を読んだ。 そこでは、「ハルムスを読んだ世界」と「世界を読んだハルムス」が追いかけっこをしていた。 「世界」が勝って、「ハルムス」はつかまった。 ハルムスは出張に出かけた。 だから、当分帰らない。2023/09/12
のりまき
27
短くてナンセンスで気持ち悪かったり、笑ったり。面白いなあと思っていると合間の解説でハルムスがどれたけ過酷な状況で静かに抵抗していたか知る。彼の最期を思うと苦しくなる。『レジ係』『インクを買おうとしたおばあちゃんの話』が好き。2024/04/15
花林糖
17
想像の斜め上、シュールでブラック、不条理な世界。短編も良いけれど数行の「寓話」「落ちていく老婆たち」が特にお気に入り。合間に挿入されている5つのコラムも◎。ダニイル・ハルムス(1905-1942)ペテルブルグ生まれ。アヴァンギャルドを代表する作家。不条理文学の先駆者。スターリン政権下でアヴァンギャルド芸術が弾圧。1931年に逮捕1年間の流刑生活。1941年再逮捕。翌年刑務所で死去。ハルムス作品はソ連ではペレストレイカ期に解禁されるまで禁止されていた。 2023/09/22
アヴォカド
13
不条理以上。何本か読んだことがあるような気がしたが、かつてモンキービジネスに掲載されたものもあるのね。2023/09/12
rakim
12
簡易な言葉で寓話的でもあってユーモアがあるとも思えるのですが、そこには暴力や失踪や死が、食事や散歩などと同じ日常の風景のようにある。ロシアの作家というと文豪と言われる作家さんの19世紀に書かれた大作を思うことが多いですが、20世紀前半を駆け抜けたシュルレアリストでありロシアアバンギャルドの旗手として一時期話題になったダニイル・ハルムス。これがロシア文学の過渡期にあったという驚きと共に、文章からにじむ抗えぬ閉塞感と恐怖感は、時折挟まれる訳者さんの解説で増幅されます。2024/10/06