出版社内容情報
跳梁する悪魔――ロシア・デカダン派の傑作
地方小都市の教師ペレドーノフは、町の独身女性から花婿候補ともてはやされていたが、実は出世主義の俗物で、怠惰にして傲岸不遜、生徒の親を唆して子供を笞打たせるのを楽しみにしている最低の男。視学官のポストを求めて画策するが、町の人々が自分を妬み、陰謀を企んでいるという疑心暗鬼に陥り、やがて奇怪な妄想に取り憑かれていく。一方、ギムナジウムの生徒で少女と見紛う美少年サーシャに惚れこんだリュドミラは、無邪気な恋愛遊戯に耽っていたが……。作者が「この小説は巧みに作られた鏡である」と述べているように、ここに描かれた地位に執着し噂に踊らされる人々の姿は、我々自身の似姿でもある。主人公ペレドーノフの名は、ロシア文学において悪徳の代名詞にもなった。20世紀初頭のロシア・デカダン派、象徴主義を代表する作家ソログープが、毒のあるユーモアをまじえて描く頽廃と倒錯の世界。
内容説明
学校教師ペレドーノフは町の独身女性から花婿候補ともてはやされていたが、実は出世主義の俗物で、怠惰かつ傲岸不遜な人物。視学官のポストを求めて奔走するが、町の人々が自分を妬み陰謀を企んでいるという疑心暗鬼に陥り、やがて奇怪な妄想に取り憑かれていく。一方、少女と見紛う美少年サーシャに惚れこんだリュドミラは無邪気な恋愛遊戯に耽っていたが…。ロシア・デカダン派の作家が描く頽廃と倒錯の世界。
著者等紹介
ソログープ,フョードル[ソログープ,フョードル] [Сологуб,Федор]
ロシア象徴主義の詩人・小説家。1863年ペテルブルク生まれ。本名フョードル・クズミッチ・テテールニコフ。師範学校で学び、学校教師として働きながら詩や小説を創作。1896年に第一短篇集『影』と長篇『重苦しい夢』を発表。長篇第二作『小悪魔』(1907)が大成功を収め、以後文筆活動に専念、デカダン派の重要作家としての地位を確立する。象徴的な抒情詩でも名声を博し、「かくれんぼ」「毒の園」「白い母」などの世紀末的な死と幻想のイメージに満ちた短篇でも知られる。十月革命には反対の立場をとり、革命後はボリシェヴィキ政府から冷遇された。1927年死去
青山太郎[アオヤマタロウ]
1938年東京生まれ。ロシア文学者。早稲田大学ロシア文学科卒。同大学院修士課程修了。パリ大学東洋語・東洋文化研究所を経て、九州大学言語文化部教授。2002年定年退官(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
HANA
ケイトKATE
原玉幸子
nightowl