出版社内容情報
慈悲深い主人には暗く恐ろしい秘密があった。社会の矛盾と不正義、追う者と追われる者の闘争を凄まじい緊迫感で描いたゴシック小説。ゴシック小説の名作にしてミステリの原点
農民の息子ケイレブ・ウィリアムズは、両親を亡くし、有力者の地主フォークランドの秘書として働くようになる。人望厚く慈愛に満ちた主人の下で恵まれた生活を送るケイレブだったが、好奇心の強い彼は、やがて主人の不可解な性格に興味をいだき、ついにその暗い秘密を突き止めてしまう。実は主人フォークランドには人知れず殺人を犯した恐ろしい過去があったのだ……。18世紀末、アナーキズムの古典『政治的正義』 で英国社会に衝撃をもたらした思想家ウィリアム・ゴドウィンが著したゴシック小説の名作。社会の矛盾や不条理をあばく告発小説であると同時に、犯罪の秘密に端を発して、追う者と追われる者のサスペンスと心理的闘争を迫真の筆で描いたミステリの古典でもあり、さらに正義の側にあるはずの主人公が逆に権力者から迫害を受ける展開は現代ミステリを先取りしている。
ウィリアム・ゴドウィン[ゴドウィン]
1756-1836年。イギリスの思想家・小説家。無政府主義的な急進思想を説いた『政治的正義』(1793)は熱狂的な反響を呼び、その思想や社会批判をゴシック小説の枠組で展開した『ケイレブ・ウィリアムズ』(1794)は、ミステリの原点にも位置付けられる。他に錬金術小説 『サン・レオン』(1799)など。
岡 照雄[オカ テルオ]
1930年、福岡市生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学名誉教授、県立福岡女子大学名誉教授。著書に『官僚ピープス氏の生活と意見』(みすず書房)、訳書にミュリエル・スパーク『ミス・ブロウディの青春』(白水社)、『サミュエル・ピープスの日記』(国文社、共訳)、J・D・カー『エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件』(創元推理文庫)など。
内容説明
農民の息子ケイレブは両親を亡くし、有力者の地主フォークランドの秘書となる。慈悲深い主人の下で恵まれた生活を送るケイレブだったが、好奇心の強い彼はやがて主人の不可解な性格に興味をいだき、ついにその恐ろしい秘密を突きとめてしまう。社会の不正義、追う者と追われる者の闘争を息苦しいまでの緊迫感で描いたゴシック小説にしてミステリの原点ともされる名作。
著者等紹介
ゴドウィン,ウィリアム[ゴドウィン,ウィリアム] [Godwin,William]
1756年、イングランド東部のウィズビーチで生まれる。父親に倣ってカルヴァン派牧師となるが、フランス啓蒙思想に触れて信仰を捨て、ロンドンに出て政治評論等を発表、文筆活動に入る。フランス革命直後に上梓した『政治的正義』(1793)は無政府主義的な急進思想を説いて熱狂的な反響を呼び、ロマン派詩人たちにも多大な影響を与えた。その思想や社会批判をゴシック小説の枠組を借りて展開した『ケイレブ・ウィリアムズ』(1794)は、犯罪に端を発する追う者と追われる者の関係を描いてミステリの源流とも位置付けられる。1836年死去
岡照雄[オカテルオ]
1930年、福岡市生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学名誉教授、県立福岡女子大学名誉教授・元学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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