内容説明
恋愛をめぐるさまざまな場面をテーマにした、不思議でおかしく、少し哀しい奇想の数々。個々の作品がそれ自体の舞台とストーリーを持ちつつ、雰囲気、イメージなどの連鎖によってゆるやかにつながる。イメージの奇才による連作短編集。
著者等紹介
ユアグロー,バリー[ユアグロー,バリー][Yourgrau,Barry]
1949年南アフリカ生まれ。少年時代にアメリカに移住し、大学の頃からものを書き始める。またパフォーマンス・アーティストとしても活躍し、『セックスの哀しみ』の映画化では主役を演じた
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年生。東京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やまはるか
25
ガールフレンドが眠っている間に、彼女の頭蓋の上部を緩めて外すと、彼女の過去が映像となって浮かび上がる。他の男とのキスの映像も。しかし、ガールフレンドも同じことをして私の過去を覗き見している。こうした奇想天外な2ページ程度の掌編が100篇近く、11の章に分けられている。作品を貫く気分、雰囲気、イメージなどの連鎖によってゆるやかにつながり、そこから浮かび上がる全体的テーマは「セックスの哀しみ」であると訳者はいうが、頻繁に変わる物語を読み込むのに消耗して前後の繋がりまでは理解できず、読書の充実は得られなかった。2023/10/07
きりぱい
14
なにこれ!面白い。・・のだけど、発想が奇抜すぎて、面白さについていけないのもあるというか。セックスの哀しみは表題作でもあるのだけど、男性の恋愛とか性的本能に対するどこかおかしみの漂う哀しさといった意味合いで、それが全体の短編にも通じている。簡単に言えば奇抜にグロテスクに哀しい恋愛の断片?「花々」「タブー」「銃」「家庭内諜報」「首に」辺りが好み。「楡」なんてもう、ゴーゴリの鼻が逃げたじゃないけれど、どうなのこれ。2012/09/09
たー
13
ぶっ飛んでて面白んだけど、これだけてんこ盛りされるとちょっとしんどい…2012/10/13
unknown
10
街に逃げ出した女性器を「私」がエロティックになだめる『楡』。恋する度に対象の女性(男性)に似た姿で女装(男装)をしてしまう男女のやりとり『人相』。<好きな女の子の前でいいところを見せようとして痛い目に遭う>という一連の流れはある意味エクストリーム・スポーツといっていいかもしれないな…と思わされる『アクロバットたち』。こういう手合いの話が肌に合うなら、是非。また、ユアグロー氏の奇想とイメージをもっとあからさまにして過剰にアレンジすると、木下古栗氏の作風になるのでは?と個人的に感じた次第。木下ファンも是非。2013/05/28
Ecriture
10
直接セックスの話が出てこない、「日常に潜むセックスの予感」みたいな些細なものを描き出している話が新鮮。表題作を含め、哀しみや哀しみの予感を伴わないセックスはないものなのか。2012/12/06