内容説明
イルカに育てられた少女が人間の世界に戻ったとき、そこには、驚きと、喜びと、胸をしめつける悲しみが待っていた…全米図書館協会ベストブックをはじめ、数々の栄誉に輝く感動の物語。
著者等紹介
ヘス,カレン[ヘス,カレン][Hesse,Karren]
1952年、アメリカ、メリーランド州生まれ。バーモント州在住。さまざまな職につきながらYA小説や絵本を発表。主な作品にニューベリー賞受賞作『ビリー・ジョーの大地』など
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タカラ~ム
18
沿岸警備隊によってキューバ沖の孤島で発見された少女は、ミラと名付けられる。イルカに育てられた彼女は、人間性を取り戻すためにベック教授の研究施設で暮らすことになる。彼女には自由が与えられない。誰かが決めたルールの中に閉じ込められて生きなければならない。ミラのひとり語りとして記されることで、彼女の成長がわかる。そして、成長するにつれて考える力がつき、自分が何を求めているか理解していく。そして彼女は自分が本当に'求めていることを見つける。彼女の選択が幸福な選択であったと信じたい。2019/01/12
yu yu
7
イルカに育てられた少女のお話。この子のおうちはどこなんだろう。 文字の大きさや漢字などで少女のことばの理解度がわかります。2017/02/15
ゆにす
5
すてきな本が図書室に隠れていた。「アルジャーノンに花束を」の女の子版という感じはする。海のイメージが美しい。ミラが研究対象でなく、一人の女の子になれて良かった。幸せは今日を生きることなのか、明日を夢みることなのか。2020/09/26
omasa
3
これも図書館にあった本。物語の設定にはびっくりしたけれど、自然と読めた。よみやすかった。訳の金原瑞人さんがあとがきで「かわいい本」と書いているが納得。ミラがまだ言葉を獲得しない始めの方(後半も)はひらがな、その後活字が変わったり、工夫だなあ。ミラの独特の言葉選びや表現がいい。魚が人間を見たら…を想像して作者は書いたのだろうが、簡単ではなかったろう。「あたしは、ほんのなかのえをゆびさす。あたしは、サンディをうれしくする。」ミラの可愛らしさ、そして哀しさも。ミラとアラドンドさんの関係がよかった。シェイが不憫。2022/08/06
sober
3
物語の構成は「アルジャーノンに花束を」に似ています。本作はそれと比べて、鬱屈した悲しさを想起させません。主人公のミラが思い描く海の風景が、少々過剰なほど爽やかであったからでしょうか。その描写は、すなわち彼女の心象であるのでしょう。一貫して彼女は人の社会になじめませんでしたが、大人の身勝手さは嫌いになっても、ジャスティンの優しさだけは憶えておいてほしいなぁと思うのはエゴでしょうか。読後感は悪くありませんが、強烈な印象は残らないかもしれません。2013/01/15