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白水Uブックス
不死の人

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  • サイズ B40判/ページ数 257p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560071144
  • NDC分類 963
  • Cコード C0297

出版社内容情報

 ホメロスの叙事詩、ガウチョの古典的歌物語、『千夜一夜』の綺譚などを変容させ、一種の迷宮物語の世界に織り上げたボルヘスの最高傑作。寓意と象徴にみちたこれらの物語は、同時に、フィクションに対する根源的な批評をうちにひそめた《メタフィクション》の先駆的な作品となっている。

内容説明

永遠の生命を求めて砂漠の中の不死の人々の都にたどりついた古代ローマの将軍の怪奇な運命…ギリシア・ローマ・バビロニア、現代ドイツ、アルゼンチンなど時間と空間のさまざまな迷宮の中に人間の不条理な生を描くボルヘスの傑作短篇集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えりか

55
ボルヘスが見てしまった全てのものの始まりであり、全てのものを内包し、混沌で無秩序であるが、過去と現在と未来の光を同時に放つ「アレフ」。あくまで創作だが、まさか彼は本当に「アレフ」をみたのではないだろうか、などと疑うほど、この短編集に幻惑させられる。不死の人々の無限の時間、運命とはすでに過去の者たちのそれを寄せ集め再構築されただけであると悟る男、すでに死んでいるからこそ傲慢を許容される男、立場が入れ替わる相反する男たち。まさに「時間と空間の迷宮」。アリアドネの糸を用意して読むことをオススメする。2018/04/13

zirou1984

35
原題『エル・アレフ』。余計な修飾を切り詰め独特の比喩を用いた語感は五感を狂わし、幾何学的な作品構造は時に時空間の常識を逸脱し己の認知を惑わせる。初読時には本作にもあるミノタウロスの迷宮に迷い込んだ様な気分にさせられたが、知性と論理を駆使することで何とかアリアドネーの糸を見つけ出した。しかしながら脱出した先に見えてくるのはボルヘスの持つ膨大な知識に対する憧憬であり、もはや迷宮に挑む前の風景には戻れない。迷宮を脱出した後は、その知によって今度は世界が逆に迷宮化してしまうのだ。唯一無二の読後感なのは間違いない。2013/07/14

三柴ゆよし

32
ひさしぶりにボルヘスを読んだ。実のところボルヘスにおいては、AはBだった、あるいはまたAはAではなかった。ではAはBなのかといえばそうとも言えず、それを知ってしまったおれはいまのままのおれではいられないのだ……というある種のテンプレートが踏襲されているので、構造さえ読めれば、あとは知らない人の名前を適当に読み流すスキルが必要なだけで、さほど難解なものではない。表題作の「実はおれ××××なんだ」のくだりには思わず吹き出したし、「アステリオーンの家」のオチはまさかのモンスターエンジンである。おもしろく読んだ。2012/09/16

chanvesa

29
「神学者たち」の51頁、「世の中には、女を忘れ、女のことをもはや考えないために、女の愛を求める者がいる。」わかってしまう。「不死の人」「死んだ男」「神の書跡」の苦い結末は人生の逆説を見せつけるが、「エンマ・ツンツ」のある意味での慎重さは不条理ですらあり、これも人生の一面かもしれない。「ザーヒル」は20センターボの価値がわからないけれども、予想では小銭。些細なものから広がるイメージが暴走する。「敷居の上の男」の狂った裁判官も暴走感あふれる。そして「アレフ」の全世界を写し出す何かはSF映画に出てきそうだ。2015/07/29

マリリン

23
幻想的ともいえるような短編集。印象深かったのは「神学者たち」「ドイツ鎮魂曲」「ザーヒル」「アレフ」か。独特の世界観が魅力的だったが、静かな場所で読むべきだと思ったものの、バックに入れメトロの中で読んだ為、やや消化不良気味。2018/04/19

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