感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
224
イーヴリン・ウォーは、つい最近『一握の塵』を読んだのが初めてで、これは2作目。たまたまなのだろうが、前作も、この小説も未知の世界を探訪するもの。前作ではアマゾンの奥地、今度はアフリカの島国(モデルはあるのかも知れないが、一応は架空の国)が物語の舞台。単に未知の世界が描かれるからというだけではなく、小説作法そのものが「驚き」を内包していることは認めるにやぶさかではないが、果たしてこれが訳者の吉田健一のいうような「雅」(élégance)な世界であるかは、はなはだ疑問だ。「黒んぼの牝」は、どう見ても差別的だ。2015/08/12
遥かなる想い
167
東アフリカの島国、アザニアという独立国の 物語である。 皇帝セスと 英国公使パシルのドタバタ劇の 印象が強い。文化の違いから起こる微妙な 可笑しみを軽快に描くが.. 正直 ブラックジョークが深遠で 展開に ついていけない、読書だった。 2017/04/26
ケイ
115
アラビア半島とアフリカの間あたりの島。ポルトガル人からアラビア人の手に渡って二世紀後、やってきて自分の王国を作ったアムラスは、白人社会からも評価される様々な改革を行い、彼の二代後の国王セスは、オックスフォードで教育を受け、当時のイギリス人の知人を政権に取り込み、イギリスを真似て近代化を行おうとする。ウォーの手にかかるから、欧米への自嘲的視点が全体の基調となるようだ。イギリスやフランス社会は真似るべきものか。現地人を見下した彼らは、思い上がるととんでもないしっぺ返しをくらうことになる。2016/04/11
扉のこちら側
81
2016年705冊め。【199/G1000】アフリカの架空の島国で英国留学帰りの新皇帝が、西洋思考にかぶれておかしな法案を連発する。このあたりのおかしさは、幕末日本もこうだったのかなと思いながら苦笑い。自国の現状を理解できない統治者は害悪である。最後はブラックな結末に。黒人差別用語が多いように思うけれど、このあたりは問題にはならなかったようだ。2016/09/09
NAO
61
冒頭の、セスを見限ってアザニアから逃げ出そうと画策する人々と、戦車を導入し近代的なやり方を実践している自分が負けるはずがないと信じて疑わないセスとの温度差、意識のずれが、この作品の全体的な基調となっているこの作品は、全体的には、皇帝となったセスと英国公使とのドタバタ劇という印象が強い。自分の目でしっかり現状を見ること、臨機応変に動くこと、といった柔軟な態度がとれないセスに対する痛烈な皮肉とブラックユーモアにあふれ、階級社会仕込みのジョークも効いているが、私個人としては、差別的な用語の多さに辟易させられた。2018/06/15




