白水Uブックス<br> ブエノスアイレス事件

白水Uブックス
ブエノスアイレス事件

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  • サイズ 新書判/ページ数 301p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560070635
  • NDC分類 933

出版社内容情報

 サディスティックなかたちでしか女性と交渉が持てない美術評論家と、マゾ的な状況のなかでしかオルガスムスを得られない女流彫刻家との不毛の愛の物語。快調なストーリーの展開とともに、映画のショット、内的告白等々、多様なテキストで成り立っている作品構成にも興味深いものがある。映画監督ウォン・カーウァイが『ブエノスアイレス』を撮るきっかけを得た本としても興味深い。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

24
痴漢に暴行されそうになり、眼窩骨折のために片目を喪った彫刻家グラディウスと生まれ持った巨大なペニスへの偏見と姉の依存などにより、ノーマルな性行動とされるセックスに対して嫌悪感を覚える美術評論家のレオ。警察への垂れ込み電話、インタヴュー、時事を伝える新聞記事、劇の一節に構成されて描かれるのはグラディウスとレオの、恋愛でもセックスでも交わらなかった関係性。歪に見えて実は強烈な感情がある人間関係の結び方の過程ではこんなふうではなかろうかと説得させられたような気分になりました。2012/09/24

田氏

21
己の描くべきものが「フィルムの短い時間では足りない」と悟って映画から文学へ転身した、という著者のエピソードが、腑に落ちあまって下まで突き抜けた。過剰なまでに細にわたる描写があったと思えば、速記の羅列や会話の断片しか示されていなかったり、しかしそれでいて全体としては「描き切った」の感がある。明示しないことによって輪郭を浮き出させるアレの巧さであるし、これにはヒロインの生業たる彫刻とのリンクも感じる。しからばこの際、主人公のご都合主義すぎる立身出世はさて措くべし(解説によれば「大衆小説のパロディ」らしいが)。2023/07/23

おおた

13
悲しい恋の物語。おとなしい女性芸術家が実は……から始まって、ボーイがビッグな芸術評論家との秘められた恋に発展する。途中には一方的な電話のシーンや、雑誌インタビューなどから登場人物のキャラクターを明確に位置づける変わった手法もあり、著者の意図通りのカジュアルな手法が重要な物語の手がかりを作り出す。ウォン・カーウァイの方は未見なので、どう映画化しているのか楽しみが増えた気分。2013/07/31

masawo

8
小説っぽくない独特な構成とドロドロした性表現が特徴的だが、その先にあるのは愛や希望ではなく、病的で歪んだ欲望がアルゼンチンを舞台としたキャンバスにこれでもかとばかりに叩きつけられている印象。冗長な部分も殆どなく、なかなか面白かったが、ベストセラーになるほど万人受けするとはとても思えない。2018/10/25

猫のゆり

8
前衛彫刻家グラディスと、異常な性癖を抱えた美術界の帝王と呼ばれるレオの恋愛話、なんだけど普通の恋愛小説には絶対しないぞ、っていう作者の思い入れが伝わってくるような小説だった。架空のインタビューや新聞記事や電話の応対の断片、空想が入り乱れて、二人の内面や状況がなかなか見えてこない。何が起きているのか、頭を捻ってピースを並び替えて、なんとか理解した頃には、二人の愛は既に破局を迎えている。ベッドでライバルの女とレオと・・の場面で意識に宇宙衛星や送信アンテナが浮かぶ、とかなんでやねん!と、突っ込み所も満載でした。2011/07/17

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