出版社内容情報
【全巻内容】1 ヘンリー六世第一部/2 ヘンリー六世第二部/3 ヘンリー六世第三部/4 リチャード三世/5 間違いの喜劇/6 タイタス・アンドロニカス/7 じゃじゃ馬ならし/8 ヴェローナの二紳士/9 恋の骨折り損/10 ロミオとジュリエット/11 リチャード二世/12 夏の夜の夢/13 ジョン王/14 ヴェニスの商人/15 ヘンリー四世第一部/16 ヘンリー四世第二部/17 から騒ぎ/18 ウィンザーの陽気な女房たち/19 ヘンリー五世/20 ジュリアス・シーザー/21 お気に召すまま/22 十二夜/23 ハムレット/24 トロイラスとクレシダ/25 終わりよければすべてよし/26 尺には尺を/27 オセロー/28 リア王/29 マクベス/30 アントニーとクレオパトラ/31 コリオレーナス/32 アテネのタイモン/33 ペリクリーズ/34 シンベリン/35 冬物語/36 テンペスト/37 ヘンリー八世
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
338
シンベリンはタイトルロールを担いつつ、影が薄い(特に前半)。主人公はどう見てもイモージェンだろう。また、この劇は悲劇に分類されることもあるらしいが、悲劇としての要素には乏しく、むしろハッピーエンドである。内容からすれば、やはりロマンス劇だろうか。劇の展開も速く、ヤーキモーの姦計やイモージェンの男装など趣向も盛りだくさんである。またクロートンが狂言回し的な役割を担うなど、運びはいたって軽やか。ただ、様々な要素を詰め込み過ぎた感もあり、主題の行方が定かではない。2022/03/31
まふ
104
ロマンス劇の中でもプロットが他に比し単純でなく複線的で、読みものとして面白い。主人公のポステユマスや、シンベリンなどが讒言などをすぐに信じる「単細胞」であるところがいかにもシェイクスピアらしいが、全体的になかなかに凝ったストーリーである。ローマ統治下のブリテン王国という設定もスケール感があって好ましい。シェークスピアにほとんどの場合出てくる「人物入れ替え」等の手段が今回は一時死んでしまう「飲み薬」。総じてこの物語はシェークスピアの中でも自分好みの作品と言える。2023/10/26
かふ
21
これはシェイクスピアが全てつくったのではなく共作ということだった。共作部分もシェイクスピアのそれまでの作品の影響を受けているようで(パロディ劇としているが)シェイクスピアをよく知る人物が関わってると見る。セリフはシェイクスピアより劣っていると言うので弟子筋なのかと思う。ロミジュリの薬の話から悪女の王妃、ハムレットの亡霊、男装する姫とか最後の強引なまとめが『終わりよければ全てよし』のようだった。善悪がはっきりしているのが登場人物が多すぎる。中心になるのは姫のイモージェンで貞操を試す劇となっている。2023/12/18
ネロ
15
色々ツッコミどころはあるものの、あまり有名でない作品の割に面白かった。幾つものほつれる紐を王シンベリンの前で一度に解決をみるの様は、流石シェイクスピア劇といった感じ。タイトルは、令和とか平成と同じ扱いなんだと思ってシンベリンの脇役振りに目を瞑る。2023/01/11
roughfractus02
11
喜劇がロマンス劇に移行するには、笑いによって格下げされる権力を試練を作る契機まで抽象化すればよいのだろう。表題のブリテン王シンベリンは頑固者であり、彼は後妻の連れ子を実の娘イモージェンと結婚させようとする。が、娘は勝幼馴染ポステュマスと結婚したので王はポステュマスを追放する。ここから、娘の純潔に関する誤報、男装して潜伏する娘、男の死体を巡る勘違い、と作者の喜劇では馴染みの交錯技法が物語を錯綜させながら、冒頭に王が設定した試練が乗り越えられていく。観客の現実に虚構を向ける異化がなければ喜劇はロマンスになる。2019/12/12
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