出版社内容情報
ヨーロッパの植民地で生まれ、特別な歴史を体現する言葉――クレオール語はどのように発生したのか、社会言語学に基づきながら概説。クレオール文化にも、音楽・料理の観点から迫る。【目次】はじめに/第一章 クレオール――クレオール人とクレオール語/第二章 クレオール語の話されている地域/第三章 クレオール語の発生/第四章 社会史と社会言語学からのアプローチ/第五章 言語学からのアプローチ/第六章 現在の言語状況/第七章 クレオール文化/結び
内容説明
ヨーロッパの植民地社会で育まれ、特別な歴史を体現するにいたったクレオール語は、どのように発生したのか?本書は、ピジン語との比較検討やこれまでの理論的研究を手際よく紹介したうえで、社会言語学にもとづきながら独自の説を提唱している。クレオール文化にも、音楽・料理の観点から迫る。
目次
第1章 クレオール―クレオール人とクレオール語
第2章 クレオール語の話されている地域
第3章 クレオール語の発生
第4章 社会史と社会言語学からのアプローチ
第5章 言語学からのアプローチ
第6章 現在の言語状況
第7章 クレオール文化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
26
以前、生前の安部公房がクレオールに興味を持っていたことを知って、クレオールという言葉に興味を持ちました。現在、文学の意味を考える上では、最初の興味に戻ってきていることに、妙な確信を持っています。社会的に確定され、一貫性のあるモデルを備えていない言語であるクレオール語こそが、人間精神に内在する言語構造をありのままに表しているとされます。近代文学が命脈を保つとしたら、クレオール語のようなものに可能性を見出すというのは、以前、一部で語られていた文脈だと思うのですが、その後はどうなったのでしょうか。2018/06/02
スミス市松
14
これまでの通説では、クレオール語とは各地の土着語が混成し、ピジン語ないし仲立ち語があらわれ、それを母語とする世代が発話する言語のことを指していた。しかしフランス本国の代表的な研究者である著者は、クレオール語はヨーロッパ語が再構造化した言語であると主張する。入植当初、黒人奴隷は領主――多くは地方/低階層出身であった――からフランス語を学び、後にプランテーション社会が発展していく過程で、その古参の黒人奴隷が大量入植してきた新参奴隷たちに教える“フランス語に似た言葉”が発展しクレオール語が出来あがったのだ、と。2014/05/06
19
1
クレオール語とピジョン語の違い、限定した用法での「クレオール語」と、一般的に広くつかわれるときの「クレオール語」の違いなど、漠然としていたものが明確になった。とても読みやすく、異文化コミュニケーションを言語で考察する上の、最初の一冊として入りやすかった。2013/08/12
my_you
1
クレオールという、研究材料としてたいへん人気があり、かつ人口に膾炙した言語は、その実態が明らかでない。実のところ、その定義すら曖昧である。本書は学術的な観点からクレオールが如何に形成されたかを論じているが、これすらも仮説にすぎない。植民地の歴史はなんとも難しいものだ。2010/08/14
御光堂
0
主にフランス語系クレオール語について記述されている。クレオール語はアフリカの言語とヨーロッパの言語の混交ではなくヨーロッパ語の再構造化であり、クレオール語の発達には必ずしもピジン語の段階を必要としない、といった、通説とは異なる主張がなされる。例文はフランス語なのでフランス語が分らないと分かりにくい。最後に音楽や料理などのクレオール文化についても述べられている。
-
- 和書
- 刑事法学入門 (補正版)