出版社内容情報
芸術作品とは何か、それはいかに研究されるべきか。本書はその簡潔な答えである。基礎的な理論、美術史上の主要な出来事、それに具体的な研究の方法など、初学者に親切な手引き書。
内容説明
ルネサンスから現代に至る「美術史学」の長い歩みを体系的かつコンパクトに解説する。巻末には、ヴァザーリ、ヴィンケルマン、ル・コルビュジエ、デュシャンらの美術史への発言をアンソロジーとして収録している。文献目録・人名索引なども充実した、美術史入門の決定版。
目次
第1章 歴史的学問としての芸術研究(主要な諸段階;考古学と美術史のはざまで;美術史の新傾向 ほか)
第2章 美術史の時代区分と領域(芸術における諸技法;先史時代と古代;西洋中世の芸術 ほか)
第3章 今日の美術史学(機関、研究所、学会;博物館、展覧会そして文化財の保存;芸術の文献 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
swshght
2
これは単なる美術史の概説ではない。ここには絵画作品を挙げて美学的に分析/読解した記述はない。前半で美術史の軌跡を辿るが、本書の特筆すべき点は中盤以降にある。美術史の成立と発展の過程、研究方法を述べていき、「美術史とはいかなる学問か」という問いに迫る。付録として美術史を学ぶ上でのカノン的な研究書が列挙されており、重要なセンテンスを原典講読できるあたりも嬉しい。また美術史という学問がフランスの社会や教育機関においてどのように受容されているかについても言及している。本書は美術史の学習と研究における入門書と言える2012/06/29
せがわ
1
「美術」の歴史と「美術史」の歴史を、大雑把ながらも端的にまとめている。美術史に関わる古典からの抜粋をアンソロジーとして収録した終章も嬉しい。難解すぎず要点を抑え、入門書としては適切かと思う。2009/10/01
令和の殉教者
0
美術の歴史については全体の1/3程度。残りは、大まかに1/3が美術史学について、もう1/3が美術史上の重要文献のアンソロジーになっている。図版はほぼ載っていないのであまり面白くないし、ほとんど固有名詞の羅列なので、画集を脇に置いて読むとかしないと予備知識のない人には苦痛だと思う。一方で美術史学についてはコンパクトすぎるほどにまとまっており、さまざまな作家・美術史家の原典アンソロジーも同時に手元におけるという意味では貴重かもしれない。大学の美術史課程の人が最初に読む一冊あたりの位置付けだろうか。2021/04/22