出版社内容情報
ロシア的霊性は、カント、ヘーゲル、フーリエ、ダーウィンら西欧の哲学・思想からどのような影響を受けてきたのか? ロシア文学と哲学者・思想家との相関関係は? 本書は、ロシア・ソヴィエトの思想の流れを、起源から現代にいたるまでわかりやすく概説した、画期的なインテリゲンツィア列伝。
目次
第1部 ロシア哲学(起源から18世紀まで;19世紀の諸論争;ロシア的霊性の復興から亡命へ)
第2部 ソヴィエト哲学(1920年代の論議;スターリン時代―1931年‐56年;「雪解け」から「開放と公開」まで)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ex libris 毒餃子
11
政治的な背景から哲学文化が醸し出されなかったが、他の学問の中で哲学は発揮される。登場する人物の邦訳がないのはツラい。2022/02/27
Meer
4
後半のソヴィエト哲学は息切れというか嗚呼教条主義という感じ(哲学の系統記述という意味ではしっかりまとまっているのだろうけれど門外漢なのであまりピンとこなかった)。 前半(ボリシェヴィキ革命以前のロシア哲学パート)はすごく面白い(「ロシア的霊性」のぶっ飛び具合よ)。ドストエフスキーもプーシキンもロシアのヨーロッパにおける屈折した役割に思いをめぐらせていた。タルコフスキー『鏡』を思い出す。ヨーロッパの東前線たるロシア的精神はこれからどうなるのだろう……2015/08/11
キュアレフトの本棚
3
ロシア哲学史において二大潮流であるスラヴ派も西欧派もただ保守と革新という二構図に留まらず、どちらもドイツ観念論に深く影響を受け、正教もしくは農民共同体というロシアに伝統的に根付いている精神性によってその思想を見出そうとしたことは、ロシアとは何かという共同体ないしナショナリティの探求に等しかったのではないか。西欧派ともいうけど、一筋縄ではないだろう。 2025/05/04
けふたろ
2
ロシアからソヴィエト期の哲学をごくごく大雑把にまとめた本。帝政期までの方が興味深いと思われる。とっかかりとしては良いだろうし、もう少し知りたいのであれば、もっと分厚い本や、あるいは専門の本を読む必要があるだろう。2018/04/28
工藤 杳
1
広く浅くと言った感じで、可もなく不可もない。ざっと概略を掴むにはいいかもしれないが、単純に記述が短いのでわかったようなわからないような感が残ると思う。訳者はロシア専門家じゃないが、表記上の大きな癖などはなく安心して読める。「ソ連にはもはや哲学は存在しない」。2017/01/12