出版社内容情報
死の淵を歩みながらの苦痛の体験が「死にいたる病」「不安」の概念へと昇華し、哲学上の「実存」の概念へと体系化されていく過程を詳述した入門書。完璧なまでのキリスト者像を念頭におきつつ、その前提として「絶望論」を提示せざるをえなかった詩人・哲学者の内心の葛藤を捉え直し、この天才の全体像に迫る。
内容説明
死の淵を歩みながらの苦痛の体験が「死にいたる病」「不安」の概念へと昇華し、哲学上の「実存」の概念へと体系化されていく過程を詳述したのち、完璧なまでのキリスト者像を念頭におきつつ、その前提として「絶望論」を提示せざるをえなかった詩人・哲学者の内心の葛藤を捉え直しこの天才の全体像に迫る。
目次
第1章 生涯と著作
第2章 著作とその伝達
第3章 実存の思想
第4章 総合としての実存
第5章 実存の諸段階
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ex libris 毒餃子
9
キルケゴールにおける実存の関係性について学べた。大収穫。キリスト教的背景を加味しないで説明しているので、初学者にもわかりやすいかも。しかし、『不安の概念』と『死にいたる病』は既読か一緒に読まないと難しいかも。2021/10/24
うえ
7
キルケゴールの生涯と実存思想の概略を解説してある。「キリスト教には実存的な現実性以外の現実性はないのである。「キリスト教は、実存と、実存するとは何かという問題とに関わる。」それはあたかも、信仰が何よりもまず、「実存における神の現実性」を立証しなければらならないのと同じであり、また同時に信仰が、存在はするが実存しない神がキリストのうちにあって実存するものとなるという逆説を立証しなければらならないのと同じである。人間は、キリストという実存する個体への関係においてのみ、個体としての自己の実存を実現する」2021/12/19
singoito2
5
読友さんもお二人すでに読了しているのにやっと今更、読みました。クセジュとしては珍しく翻訳がこなれていて、誤植も発見できませんでした。キルケゴールの審美的→倫理的→宗教的と言う著作の順序とか、宗教性AとBとかを順序立てて説明していて、これでまでの読書を振り返って理解を深めることの出来る内容でした。「キリストは、時間の中に永遠に現存する人物であり、キリスト者が同時的に関係しあうことができる唯一の実存する個人なのである」p140なんて、グッときちゃう信徒さんも多いんじゃなかろうか。2022/02/11
sk
0
分かりやすくていい。2010/03/27