文庫クセジュ<br> 錬金術

文庫クセジュ
錬金術

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  • サイズ B40判/ページ数 158,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784560055250
  • NDC分類 430.2
  • Cコード C1243

出版社内容情報

近代思想の背後から、いま呼び返される錬金術。物質の変成を通じて宇宙再生の秘儀に参加し、火による魂の浄化をくぐって死の彼方に復活することを説くこの呪われた秘伝的教理は、西欧精神の隠された暗黒部分を照らし、驚くべき象徴的世界像を描き出す。その歴史と理論と実際をめぐる好個の入門書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マウリツィウス

19
錬金術の創世論の起源は「光あれ」を万有に通用するものへと還元した。ファウストを魅了した中世における引用テクスト群はヘルメス文書に保存され集大成としてグノーシス、カバラ、占星術を包括する賢者の石=世界創造の業を束ねる。キリスト教起源ともされるこのアルス=マグナは確かに伝説においてケマの書に記録された通り、異端の系譜に含まれてもその発祥は聖書的と呼べる。両義性を孕んだこの諸文献はイエス・キリストの事実性を隠喩において語りその証明としてパナケイア=不老不死の秘薬があの錬金術師の渇きを満たす。忘却の彼方の真実論。2013/05/02

マウリツィウス

18
【ヘルメス文書集】古典精神史を束ねた《新約聖書資料集合》はアヴァンギャルド意味ではなく伝統意義、つまり『新約聖書』外典からは除外される。そして古代ユダヤ教集合でもある『ケマの書』起源説は否定されるも創世記時代に存在した記述性から語り出すことが出来る。「神秘主義」分類を拒んだ古典文献網を攻略した《カバラ》定義を覆した「ヘルメスの意味論」は古典と宗教を相互交換した集成でもあるのだろう。古代古典文明史とは一貫した聖書主題を示し続けており、ボルヘス系譜にある作家たちを育てた。律法と鏡像とはコリントの書簡にて記す。2013/07/12

マウリツィウス

15
【錬金術起源】新約聖書化された旧約文書を定義せずに旧約由来『ケマの書』から発した「錬金術」、この遍在的性質が「ヘルメス学」、聖書資料集から整理していくとその実際意味は簡潔、新約と旧約の区分から生じた「外典」概念、これを追求すると錬金術が旧約『歴代誌』に見られる文明行為と等しく、旧約聖書が異端ではない領域を偶像視したのは非事実、以外に神秘主義に塗り替えたカバラを既に批判意図に含めた。錬金術の異端性質は根幹に誤り、新約聖書資料集を外典分類書と比較検討することで「カバラ性質」≠「錬金術」となる。異端記録は追放。2013/06/03

マウリツィウス

9
【The:"Alchemy"】神学と古典主義との対立における《緩和材料》とも適合出来る「錬金術」だが「ヘルメス思想」を本来に内包しているのではなく《『ケマの書』》説すら否定されるものでもある。『錬金術』を中心命題に据えることでグノーシス起源性は関与することは無くなる。この定義書を「錬金術一連文書」と定義するならば「グノーシス」「カバラ」との該当分類すら解除されるだろう。したがって「錬金術」とは統合視点における芸術基盤とも再評価出来る。ゲーテ『ファウスト』での援用すら原型系譜に類推すれば肯定可能余地を含む。2013/10/22

pollack

5
錬金術というと、ある種の物質を金に変成する技術で、化学の原型というイメージを漠然と抱いていましたが、そういう形而下的側面のみならず、賢者の石の錬成によって、術者の精神を神の領域まで昇華させて、万物の知識を獲得し、宇宙の救済に至ることをも目的としています。科学的視点や理解が浸透した私たちにとって、金属は命を宿すとか、物質は(化学的意味と直接対応するものではないが)硫黄と水銀と塩で構成されているとか、いわゆる常識を横に置いて読まないとよく分からなくなりますが、昔の世界観の一端を見た思いで面白かったです。2015/12/10

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