出版社内容情報
真の小説好きの味読に耐える長篇と珠玉の短篇を集める。端麗な文章と軽妙な諷刺で人間の愚かさといとおしさを鮮やかに描き出す、フランス文学の最高峰。収録作品:「ジョカスト」「やせ猫」
内容説明
端麗な文章と軽妙な諷刺で人間の愚かさといとおしさを鮮やかに描き出す、フランス文学の最高峰。真の小説好きの味読に堪える長篇と珠玉の短篇を集めた愛蔵版選集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H2A
18
A.フランスの2篇。『ジョカスト』は変わり者の軍医と世間知らずのままイギリスの富豪と結婚した女性の恋物語。『やせ猫』は、ハイチの元大臣の息子レミと『やせ猫』という安酒場に集う若者の無放縦な歳月を綴る。家庭教師を任されたはずの文士気取りゴデのせいでレミは大学入学資格試験そっちのけで画業に打ち込む。彼の周りの詩人、画家、社会思想家たちの像が瑞々しい。主人公が植民地出身の「混血」という設定も陰翳を添える。作者も愛着をこめて書いたにちがいない。2013/08/18
shinano
8
小説集の初巻と終巻をチョイスしたのだが、この12の二作品には自分の咀嚼力が足りなかった様です。大作家アナトール・フランスをそうそう読み解けるとは思っていないが、作家の裡にあるものが変容してきたのは感じられる。人を描くときの、性癖とそれによる言動はしっかりと作られていると思う。ただ物足りないというか薄いというか、登場人物の日々の生活(暮らし感)があまり印象にない。人物たちの思想観や芸術感、対人での疑惑・蔑視・嫌悪と、相対する自己の優越・陶酔・不安・喜悦に筆がふるわれ、ここに重点があると読んだのだがさて如何。2011/08/13