内容説明
『チボー家の人々』の主人公ジャックに焦点を当て、作者自身が抜粋、加筆、編集を行ない一冊にまとめた名作が、高野文子氏のイラストと共に懐かしの「黄色い本」として甦る。
著者等紹介
山内義雄[ヤマウチヨシオ]
1894~1973年。1950年「チボー家の人々」による芸術院賞受賞
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感想・レビュー
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qwer0987
4
主人公のジャックは、この時代のボンボンの典型的人物のように見える。行儀よくおさまっていることが求められるのにそれができない、じっとしていられない男なのだ。だから何度か家出もし、抑圧的だが、愛情ある父を困らせてもいる。だがボンボンゆえに世間知らず理想家肌でもある。共産主義的なに走り、戦争を解決できると思い込みアジビラを作ろうとするあたりは若さがあって好ましい。この時代の坊ちゃんだったらきっとそういう人もいたんだろうなと感じさせるすばらしい存在感だ。ラストは悲しいものだったが、最後まで惹きつけられる作品だった2018/02/08
ジュンコ
4
久しぶりの再会。高野文子にとってそうであるように、ジャック・チボーは私にとっても大事な友人。ーーー「いつも自分自身の《判断》にもとづいてその日その日の一挙手一投足を決定しなければならない場合、そうした《判断》を持つに先だって、まず《われらいかに生くべきか》の問題、《われらなにをなすべきか》の問題を考えさせてくれるもの、すなわちこの『チボー家のジャック』だと言うことができると思います」(訳者あとがきより)2015/04/20
アレカヤシ
2
「チボー家の人々」のジャックの別のエピソードが書かれているのかと思って読んだけど、違った。この本は作者が(年少の読者のために)「チボー家の人々」のジャックに関するところを選び出し、繋ぎ合わせたものという。年少の読者を想定してる為か、ペシミズム、ニヒリズムは薄められ、政治談義や、エロティックな場面は除かれている。繋ぎかたに少し無理があるので、話の流れがちょっと分かりづらい感じ。チボー家の人々の精力的な、意志的な人生を強調している感じ。作者が年少の人々に伝えたかったところだろうか。2018/02/25
Ribes triste
2
本棚整理中に発見。作業放り出してそのまま読破。しばらくぶりにジャックに会いました。私はおばちゃんになってしまったけど、ジャックは初めて読んだ時と同じままでした。『チボー家の人々』をまた全巻読みなおしたくなりました。2014/10/27
久美
1
もちろん高野文子『黄色い本』から。ねぇジャック、私があと10年若かったらわたしたち良いお友達になれていただろうか……むしろ今のわたしはアントワーヌ兄さんと友達になりたい。内容はダイジェストだなぁという感じ。なのでやはり『チボー家の人々』読まねば。「一夏過ぐその変遷の風かみにするどくジャック・チボーたらむと」小池光 2018/12/01