路面電車

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  • サイズ B6判/ページ数 165p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560047606
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

電車の運転台にとどまって得意然とする小学生クロードのみずみずしいイメージは、病床で高熱にあえぐ老シモンの姿と無媒介に重ねあわされる。そのあいだにも草木を芽ぶき、小鳥はさえずり、若い男女は駆動車に牽引された遊覧車で歓声をあげ、社交海水浴場で踊り狂う。珠玉の回想小説。

著者等紹介

平岡篤頼[ヒラオカトクヨシ]
1929年生まれ。1952年早稲田大学文学部卒。フランス文学専攻。早稲田大学名誉教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

111
ノーベル文学賞を受賞した仏の作家シモンの晩年の作品。路面電車を中心にした幼い頃の思い出と病気のために入院している現在のことが、交互に語られる。延々と続く長い文章に特徴があり、集中して読まないと文脈を見失ってしまうことがあった。人や物を細密に描いていく文体で、紋切り型の表現は注意深く排除されている。そのために大人と言うより子供の眼から見たような驚きに満ちたこの世界が、読者の脳裏に鮮やかに浮かんでくる。痛切なノスタルジーを帯びた幕切れが美しい。2015/11/20

燃えつきた棒

35
松田優作ならずともこの小説を読んだ者は誰もが『なんじゃあ、こりゃあ~!!』と叫ばずにはいられないだろう。 それほどまでにこの小説はとらえ難く読み難く消費され忘れ去られることを断固拒否している。 この調子でついにはノーベル文学賞さえ手にしてしまうのだからクロード・シモンの剛腕恐るべしだ。選考にあたるスウェーデン学士院の面々は難解さがお好きなのかも知れない。/2021/04/28

マウリツィウス

16
【フランス語現代文学論】現代文学における台頭位置を鮮明記録した訳文を垣間見るもシェイクスピア以降文学を断ち切るだけの痕跡を求める。よってフランス語記号論を内包、無限迷路を無限構成していく。古典主義/現代思想を突破貫通していく物語論は仏語記号性を熟知、日本語化されることでグノーシス主題へ変容した現代思想を批判していくのだろう。「ヌーヴォー・ロマン」の提唱した幻想様式はフランス語表記を無力化したのではなく「継承」、訳文にすらその方法世界は継続/永続する。シェイクスピア擬古典主義を吸収引用-「破砕学」は告げる。2014/01/28

Bartleby

12
何らかの理由で病院に入院した老人が、路面電車の走る町でかつて暮らした少年時代を回想した短い小説。息の長い文章は明らかにプルーストの影響を受けている。しかしただただ風景や家族や病院の描写が続く。途中で読むのが苦行のようになり訳者解説にとんだら、文章の端々に逆説的な表現が同居しているのを味わえばいいという指南があり、小説に戻ると俄然かがやきだした。小説のひとつの極北。2022/09/27

泉を乱す

7
クロードおじいちゃんの凄味。 そして彼自身の母への感情が暖かく伝わる!2018/07/22

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