出版社内容情報
インドの貧しい家の娘コリーは13歳でお嫁に行くが、義母はコリーをこき使い、ついには「未亡人の町」に捨て去る。逆境を健気に生きる少女の姿を描いて感動を呼ぶ全米図書賞受賞作。【編集者よりひとこと】まだほんの少女なのに貧しさゆえにお嫁に行かされ、夫が亡くなったあとは義母にいじめられる……あらすじだけ読めばおそろしく暗く思えるこの物語は、実際に読んでみると不思議なほど明るく暖かな光に満ちている。なぜだろう? まずは主人公コリーの負けん気な性格とユーモアを失わない心。そして彼女を励ましてくれる何人かの良い友達、そして何よりも、コリーが数々の思い出をこめて刺繍する美しいキルトやサリー。最後にはそれが彼女に勇気と幸せをもたらすのだ。
内容説明
貧しさゆえに13歳でお嫁に行ったインドの少女を待ちうける思いがけない運命。よろこびと悲しみをキルトにつづり、けなげに生きるそのすがたは、読者に勇気と感動を呼びおこす。全米図書賞受賞。
著者等紹介
ウィーラン,グロリア[ウィーラン,グロリア][Whelan,Gloria]
詩人で、若い読者のための小説を数多く書いている。『Once On This Island』でグレート・レイクス・ブック賞、『Homeless bird』で全米図書賞を受賞
代田亜香子[ダイタアカコ]
立教大学英米文学科卒
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青
7
13歳であったこともない相手に嫁いでいくコリー。2001年に初版が発行されているが、まだまだ現代インド社会でみられる光景だということに衝撃を受ける。女性蔑視、貧困多くの問題のなかで明るく生きていこうとするコリーの素直さに清々しさを感じる。現実はもっと悲惨なところもあるだろうが、最後にコリーが幸せを掴むことで未来への希望が願われている気がする。2014/11/18
くろねこ
6
この社会を当たり前としてその中でも逞しく生きる少女、コリー。彼女が遭遇する理不尽さに私のほうが憤ってしまいそうだけど、コリーはそんな中でもキラキラしている。道を切り拓いていけたのは、コリーの優しさと逞しさがあったから。最後で救われたことが本当に嬉しかったです。そして、訳者の代田さんはさすがですね。ひっかかるところが全然なかったです。2011/01/30
なつ
5
主人公ははじめ十三歳で最後は十七歳になる少女だけど、優しい文体と的確な心情描写で一気に入り込んでしまった。こちらは児童書らしいけれど、大人の私にも読みやすく男尊女卑の思想が強いインドの実情が具体的に見えた気がしました。ストーリーとしてもとても面白い。理不尽な扱いに幾度となく憤りを感じるけれど、等身大の主人公がとても素敵です。2015/04/29
algon
4
インド、13歳の娘が口減らしに嫁に出されるが婿はすぐに病死、散々こき使われたあげく未亡人の街に捨てられる…という無茶苦茶だがインドでは現状というかなり悲惨な話を主人公の賢さと器用さで切り抜けて将来にも明るさが見えてきた…というビルドゥングスロマンな物語。様々な場面で救いのポイントになっているのが手職としていた刺繍の技と義父からもらったタゴールの詩集だった。未亡人宿の主、その後援の夫人などに助けられながら刺繍の職に就き農家の嫁として再婚を決意する。底辺の話ながら決して暗くはない良い本だった。全米図書賞作品。2019/05/06
るき
4
主人公のコリーののびやかな明るさに救われる。持参金目当ての結婚だとわかっても、すぐに未亡人になってしまっても、愛することを忘れず、文字を習いたいという前向きさも捨てず、義妹が助けてくれないとわかっても嘆くわけでもなく受け止められる。義母から未亡人の町に捨てられたものの、刺繍で身を立て、経済基盤をしっかりつかんだ上で最後は愛する人と結婚することに決められた彼女はもし何かあってもしっかり立っていけるんだろうと思わせるラストだった。2017/10/23