死んでいる

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  • サイズ B6判/ページ数 235p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560047194
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

動物学者の夫婦が砂丘で撲殺された。死体には海辺の生き物が群がり、肉を貪る……。死後の幻想から一切離れ、死そのものを冷徹な美しさで描いた、《全米批評家協会賞》受賞の問題作。
【編集者よりひとこと】ジム・クレイスは無神論者の立場から、人は死に際して宗教に救いを求めない場合、何を救いとするのかというテーマに取り組んでいます。本作が本邦初の紹介となる英国の作家ですが、本国では《ウィットブレッド文学賞》を受賞したり、《ブッカー賞》最終候補になるなど、その実力は高く評価されています。

内容説明

動物学者の中年夫婦が砂丘で撲殺された。夫の手はかろうじて妻の脚に触れていたが…二人の死体には海辺の生き物が群がり、肉を貧る…。無慈悲な死と冷徹な自然に、二人の愛も最期を迎えるのか?「全米批評家協会賞」受賞。

著者等紹介

クレイス,ジム[クレイス,ジム][Crace,Jim]
本書で「全米批評家協会賞」(2000年度)を受賞した英国の作家。これまで6作品を発表し、‘CONTINENT’で「ウイットブレッド処女作賞」、「E.M.フォースター賞」他を受賞、‘QUARANTINE’で「ウイットブレッド賞」を受賞、「ブッカー賞」最終候補となる
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Acha

8
タイトルに気圧され、てかもういきなり、死んでいる。文字通りすぎて呆然。中年夫婦が殺され死んでいく過程が、生物としての機能が止まるところからリアルに描かれ、さらには食物連鎖的朽ちていくさまも事細かく描かれ、かつ彼らの出会う過去、娘が彼らの死体に面する現在が淡々と平行する。死体の緻密な観察に比べ、キャラたちの感情は散り散りで入り込む余地がない。死の残酷な真実にとことん向き合う画期的な作品…ラストの静寂にあー諸行無常的なアレかー…と理解できる気もしたが、終始面白いかといえば全くハテナであった。名作に敗北感。2021/10/05

松風

8
ガーディアン1000冊75作品目。まさに死んで「いる」物語。2020/09/06

mejiro

8
タイトルのとおり、冒頭から主役の夫婦は死んでいる。過去と現在を行き来しながら、死体の変化を観察するように緻密に描き、同時に夫婦の人生を振り返る。静かに死を見つめることで彼らの生が明らかになる。また生命が自然の一部であることも。夫婦と疎遠な娘の反応も興味深かった。平凡といった一言では括れない、人それぞれの人生があるという当たり前のこと、生きて死んだ、を深く感じた。2014/12/09

hirayama46

3
はじめてのジム・クレイス。なかなか刺激的な思索があり興味深く読みました。物語が始まった時点ですでに「死んでいる」夫婦の腐敗していく様を描いた現在、死ぬまでのプロセスを描いた近過去、ふたりの出会いや関係性の進展を描いた遠過去の3つのパートが折り重なるようにして進んでいく長編。米国に住む無神論者が死について向き合うというのは日本の無宗教者とはまた違ったものであるのでしょうね。ふむふむ。2019/02/26

うにこ。

2
どきどきわくわくはないけれど、しんしんと面白い。 内容は、最初の1行で殺された夫婦の死んでいるさまを延々描写しているだけなのですが。 友人にこの本の内容をざっと紹介したところ、「オチを教えろ」と言われました。 あまりにあんまりな内容なので、オチがあるに違いないと思ったようです。 結論から言うと、ないです。 死体が発見されて、それに群がってたカニもエビもカモメも、この世に存在するすべてのものも、いつかは死ぬね。って、それだけ。 でも、面白かったです。 2003/07/08

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