出版社内容情報
ベルリンの壁が崩壊したあの夜、作家の俺は名のない女に殺された。ナイフで喉をズバッと。俺は〈眼〉と化し、刻々と腐乱してゆく俺の肉体を観察すると同時に、街を徘徊する女を追っていった。幾多の文学賞に輝く大器が究極の合一=愛を求める男女とドイツの苦悩を、官能的かつ斬新に描く野心作。
内容説明
ベルリンの壁崩壊の夜、名のない女に殺された作家の俺は眼と化し、街に出た女を追った…。ムージル『特性のない男』、デーブリーン『ベルリン・アレクサンダー広場』、カフカ『流刑地にて』、ベン『屍体公示所』、グラス『犬の年』、ワーグナー『パルジファル』、エーコ『フーコーの振り子』、プラトン『饗宴』―多数の引用による仕掛けと冷徹な描写力とが、究極の合一「愛」を求める男女とドイツの苦悩を描き出す。ヴァルザー賞、バッハマン奨励賞、クルチウス奨励賞等に輝く鬼才の野心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蘭奢待
20
描写がものすごく、緊迫する展開だが、ストーリーが全く意味が分からない。バタイユ的でもある。解説文を読んで初めて分かった。東西分割され、併合されたドイツに対するメタファだったのだ。言われてはじめて腹に落ちた。いつか読み直そう。2018/11/25
ハルトライ
0
話としては面白かったが、印象的には「ちょっと今からしてみると、古い小説に思えるかな」というところも否めず。ポルノグラフィックな描写が、ベルリンの壁という騒動へのメタファーになっているあたりに、なんだか、少しクレフェルトの「昔は戦争とセックスは同じ言葉で語られるものだった!」という主張を思い出してしまう。2014/09/28
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