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出版社内容情報
罠とも知らず愛する女のもとへ馬を駆る若き騎士ドン・ルイ。途中、刑場の丘のかたわらを通りすぎるが、その時、縛り首の死体が彼に話しかける。「俺を連れていけ、何かの役に立つはずだ」ユーモアと辛辣な皮肉を交えた魔術的リアリズムの世界。傑作『大官(マンダリン)を殺せ』を併せて収録。
内容説明
罠と知りつつ愛する女を救いに馬を駆る若き騎士ドン・ルイ。―途中、刑場の丘のかたわらを通りすぎるが、その時、縛り首の死体が彼に話しかける。「俺をつれていけ、何かの役に立つはずだ…」ポルトガル写実文学の先駆者エッサ・デ・ケイロースは鋭い観察眼、ユーモアと辛辣な皮肉を交えた重厚な文体でヨーロッパでは文豪として知られている。本書は彼の代表的な中編傑作「大官を殺せ」と表題作「縛り首の丘」とを選び、知られざる作家の魔術的リアリズムとも言うべき小説世界をはじめて日本に紹介しようとするものである。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
66
イベリアの幻想不条理劇。「代官を殺せ」は禍福は糾える縄の如しのような物語。代官を事実上、罪を問われることもなく、殺してしまった富を手放した瞬間、主人公。しかし、良心の呵責は代官の形となって顕れてしまうことで人生を愉しめず、遂には代官の出身地である中国へ救いを求めに行く程。しかし、救いは一切、訪れずに空虚な人生観が付き纏うのが苦しい。そして褒めそやし、媚びを売っていた周囲からかつてのように蔑まれる様に人間の浅ましさを感じる。表題作は自己犠牲による恋の成就かな。久生十蘭氏の「墓地展望亭」を思い出しました。2016/06/22
春ドーナツ
3
白水Uブックス版が入手できず単行本で読む。初めてのポルトガル小説。白水社は元々フランス文学の翻訳・紹介のために起業したという話を何かで読んだことがある(間違っていたらごめんなさい)。同様にポルトガル文学を丹念に日本で出版されている会社を発見した(現代文学で映画化もされたノーベル賞作家の本をチェック)。本書はクラシックで南米文学のマジックリアリズムと通底しているものがあるのではと思う。2016/09/20
のうみそしる
2
大官を殺せ:突然金持ちになった人物に対する民衆の媚へつらい、またその反対に落ちぶれたと知った時の手のひら返しなど、実に皮肉に溢れた作品。序盤の黒ずくめの男が出てくるあたりからもう幻想的。それでいて北京の街の描写なんかは徹底している。 縛り首の丘:殿の謀略や死者の活躍など面白い展開だが、なんとなく物足りない。2017/04/26
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