内容説明
絶界の孤島に君臨する女城主モナの城にたどり着いた主人公が、エロスの秘儀を目指して昇りつめる過程を、卓越した芸術的手法で著した異色作。衝撃的な内容で騒然たる話題をさらった、倒立のビルドゥングス・ロマン。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
24
温度も音もない、淫らな悪夢を見ているようでした。『英吉利人』の作者P・モリオンに捧げられたこの作品は、月の光に照らされて、どこか虚無的な雰囲気が漂っています。物語が進むにつれてこの印象はさらに強まり、白い、照明がいきわたって影がないという孤島の城の内部(作中では「月の世界」と言われる)の様子は彼岸を彷彿とさせます。また、主人公も「皮を剥ぎ取って」、個からも生からも遠ざかり、末尾の「虚無(くう)の立ち去ったあとに、純粋性の城が残る」というマラルメからの引用のとおり、何か純粋な結晶が残ったという印象でした。2016/06/08
パブロ
6
この本を読みたいがために、『生田耕作コレクション』全5巻買っちゃったよ〜。とは言いつつも、さすが生田耕作の訳。流麗な文体に、思わず唸る句読点の打ち方。んでもって、内容は哲学的ポルノ小説。エロスの秘儀を極めるために、男色はもちろん、犬やオラウータンとの獣姦なんかお茶の子さいさい。女王モナとの交合は幻想譚を通り越して、SFのような場面の連続で圧倒される。う〜ん、でもね、サドもそうだけど、やっぱり性をモチーフにした小説って、人間の想像力の限界が見えちゃうんです。エロスの極北、もっと突っ込んでほしかったな〜。2013/07/02
刳森伸一
4
エロスの価値を極限まで高めんとする観念的なエロティカ文学。サディスティックでもマゾヒスティックでもなく、独自路線を突き詰めているのが良い。エロティカの描写としては、最初の方に最も強烈なシーン(獣に犯される箇所)があるのが少しもったいない気もするが、今まで読んだエロティカ文学の中で最高峰だと思う。 2015/05/04
世玖珠ありす
3
さすがかつて「フランスで話題の発禁ポルノ小説」だっただけの事はあります。マルキ・ド・サドもびっくりな内容でしたが、最後は哲学的に終わりました。真のエロスが確かに本書にあります。2009/11/08
a.k.a.Jay-V
1
会社の休憩室で読書してると「何読んでんの?」と言われる事がある。その時は決まって「官能小説です!」と言うのが鉄板ネタだったのに……妖艶展覧。やっぱ動物でも言葉を持つ動物(人間)の裾野の広さの可能性を感じた。2017/12/23
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