充ち足りた死者たち

充ち足りた死者たち

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  • サイズ B6判/ページ数 211p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560042304
  • NDC分類 953

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミツ

17
三つの中短編からなる作品集。もうドロッドロのぐっちゃぐちゃである。世界創生前の人類の残存者(!)たちによる性と暴力の詩的イメージのうねりが織りなす神話的混沌の世界。捻じれ、歪み、蠕動する言葉の奔流はグロテスクでもありかつエロティックでもあり、時折挿入される装画とも相まって後ろ暗い欲望を刺激する。通常の物語としての体裁は大胆に破棄され、ただただ破滅的な混乱と混沌が支配しており、その圧倒的なパワーに最後まで押し切られてしまった。かなり尖っているので、気分が良くて体調もすぐれている時に読むことをお勧めする。2016/09/01

三柴ゆよし

16
再読。巨大な瘤を持つ老婆に仕える少年の物語「肉腫」も凄まじいが、やはり「マリー」の目眩くような言語イメージが圧巻。ひとまずは、世界創生以前の混沌のなかで演じられる、支配者(暗殺者)と被支配者(マリー)、神(暗殺者)と生贄(マリー)の愛の物語として要約することが可能だが、本作の未分化な神話構造においては、そうした二項対立的な理解は容易に覆されるものであり、支配する者は支配される者であるという価値の転換、あるいはそもそもマリーとは、演者というよりもむしろこの物語が演じられる舞台そのものであったのかもしれない。2012/08/08

あ げ こ

10
激しく、粘っこく、醜悪であり官能的であるイメージの累積。次々使う。次々使い捨てる。次々使い、使い捨て、超えて行く。使い捨て、突き破る。使い捨て、破壊する。その躊躇いのなさ。驚くほど徹底的であり、凄まじい。贅沢に、潤沢に、使い捨て、飛んで行く。愚かであり滑稽であり淫靡である様相。見たくないもの、認めたくないものの多さ。嫌になる。馬鹿げているとさえ思う。満たすため使い尽くしたその残骸の山。絶えず流し込まれ、胸が焼ける。飲み込み難く、消化し難い熱が滞る。剥き身の蠢きに触れる嫌悪と痛快さ。圧倒され、声を失う。2016/11/29

とらやん

2
全編メタファー。 凄い表現の宝庫です。 そこは官能の腐葉土と、 不吉な木々に満ちている世界でした。2018/05/01

夜明けのナッキー

1
はてしないエロスと暴力、死の混沌の沼にはまり込み、窒息しそうだった。散文的ではなく詩的言語で織りなされる物語は、法とロゴスの支配が及ばない、神不在の神話的世界。無秩序で、むき出しの快楽をさらけ出すマリーの宇宙に、恐れさえ感じてしまう。きっと、いつだって男は女性の前では敗北者なのだ。はじまりは死を内包する。逆も然り、死ははじまりを内包する。マリーの死は混沌の終わりであり、日常のはじまりでもある。その意味で、彼女はわたしたちの聖母マリア様なのかもしれない。2018/07/30

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