出版社内容情報
近代フランス最高の劇作家ジャン・ジロドゥの作品は古くからわが国の演劇界にも大きな影響を与え、近年では劇団四季の上演で知られる。人間の運命を見すえる巨匠の全集待望の復刊。
【全巻内容】
(1)ジークフリート/アンフィトリオン38
(2)ユディット/間奏曲
(3)テッサ/トロイ戦争は起こらない
(4)クック船長航海異聞/パリ即興劇/エレクトル
(5)カンティック・デ・カンティック/ソドムとゴモラ/オンディーヌ
(6)ベルラックのアポロ/ルクレチアのために/シャイヨの狂女
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
28
元ネタのギリシャ劇と違うのは、エレクトルは初めは真実を知らないこと。母への敵意はすでにあるが、その理由がどこからくるのか、はっきりと知らず、アガメムノンの死の真相が明らかになるのは、終盤において、コロス的な役割の乞食によってである。真実を知らない点ではオレストも同じで、惨劇の頃まだ幼かった両者の二十年越しの出会いは姉弟というより恋人のようでもある。真実を知らない方が幸せかもしれない、しかし知らずにはいられない、それがどのような夥しい血を流す結果になろうとも。その血の向こうに初めて黎明が訪れるのである。2024/06/21
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