出版社内容情報
エリザベス朝演劇を代表する劇作家5人の代表作を小田島雄志の個人訳で紹介する戯曲集。【全巻内容】1 クリストファー・マーロー『マルタ島のユダヤ人』『フォースタス博士』2 ベン・ジョンソン『ヴォルポーネ』『錬金術師』3 ジョン・ウェブスター『白い悪魔』『モルフィ公爵夫人』4 シリル・ターナー『復讐者の悲劇』『無神論者の悲劇』5 ジョン・フォード『あわれ彼女は娼婦』『心破れて』
内容説明
姦通と復讐がテーマの『白い悪魔』、再婚した公爵夫人とそれを執拗に妨害する男たちとの確執を軸に展開する『モルフィ公爵夫人』。ウェブスターを代表する悲劇二作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
21
日本語訳を読んでもいまいち情景が浮かばず、YouTubeで上演の動画を見て初めて凄さを実感した「マルフィ公爵夫人」(と動画では発音している)。荒野に足をふみいれるように恋をする公爵夫人は最期まで気高さを失わない。恋を阻もうとする枢機卿とファーディナンド、彼らの言いなりに鬼畜の所業を繰り返すうちに良心の呵責になやみはじめるボゾラ。死体を模した蝋細工、不気味なこだま、ファーディナンドの狂乱などのおどろおどろしいしかけにもかかわらず、すべては霧の中の一期の夢のようなはかない人生の浮沈に読後しばし呆然とする。2020/02/14
viola
8
映画『恋におちたシェイクスピア』にも残酷な少年として登場しているウェブスター。その代表作2作品が収録されています。残酷だー残酷だ―と聞いていたけれど、そうでもないかなという印象です。(シェイクスピアの『リア王』とか『タイタス・アンドロニカスのほうがよっぽど残酷な気が』)シェイクスピアっぽい箇所もところどころ見受けられるものの、全体的に(エリザベス朝演劇好きだけど)読んでいて面白いものではないです。正直退屈・・。大好きな小田島雄志訳のこのエリザベス朝演劇集も3冊目。残り2冊もぼちぼち読んでいきます。2011/05/25
tieckP(ティークP)
4
『白い悪魔』のみ読了する。イギリスの階級と愛情をめぐる殺人・復讐劇で、登場人物が派手に散りばめられ、それぞれが凝った言い回しに終止するので、深さに欠けると中盤まで思っていたのだが、死を目前にした終盤のフラミネオの台詞と行動にはシェイクスピアのなかでも傑作にだけ見られるような本格的な人間についての洞察力とそれを華やかに怒濤のようにまくし立てる言葉の力強さがあり崇高。主人公は卑しくも真実味あるこの人物だ。なおシェイクスピアの後なので結構似ている。コーネリアの狂気の台詞は『ハムレット』のオフィーリアばりに迫真。2017/12/16
Tozza
1
難解でありがなら象徴的な情景描写、比喩をちりばめた装飾的な会話。リアリティよりもバロック的な豪奢を優先した会話劇である点は、エリザベス朝期の他の劇作家(ベン・ジョンソンやシリル・ターナーなど)と共通した特徴をもつ。ただウェブスターに顕著なのは、劇的展開ではなく、あくまでも遊戯的な虚飾性を重視している点(とくに死の瞬間の不自然な冗漫など)。死体に模した蝋人形の手首を切り取り、その指輪に侯爵夫人が口づけする残酷描写は、やはりこの時代の劇作がもつ先鋭的なギミックのひとつだったのだろう。2026/03/26
nightowl
1
ポケミス新刊の着想元ということで読了。正直、そちらの男たちが勝手に動く「白い悪魔」より道化役的立ち位置の男が皮肉を撒き散らしヒロインが許されない恋の嘆き節をする「モルフィ公爵夫人」の方が格段に面白い。弁の立つファム・ファタール好きなら後者、ヴェデキントのルル二部作のように男が何かをしてやりたくなる女性好きなら前者を薦める。2020/03/01
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