内容説明
あなたの町にもきっとあった、あの店この店…その不在の光景の数々を、瑞々しい感性と豊かな言葉で紡ぐ。
目次
好物
お絵かき坂
リボン七〇センチ
さよならおでん
ボブとミッキー
めんこいね
ひとそろいの湯
夏のにおい
角に立つ
受け身の音色〔ほか〕
著者等紹介
石田千[イシダセン]
1968年福島県生まれ、東京育ち。國學院大學文学部卒業。2001年「大踏切書店のこと」で第一回古本小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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新地学@児童書病発動中
104
石田千さんの書く文章が本当に好きだ。ふくよかできめ細やかで、優しい。それでいて凛としたものが感じられる。現在の日本の作家で、一番美しい文章を書く人ではないかと思う。題の通り馴染みの店が店仕舞いすることを描いた随筆集。自分のお気に入りの店がなくなってしまった時の、胸の中にぽっかりと穴が開いたような切なさと寂しさが入り混じったあの気持ちを、巧みに表現している。この本は昭和への挽歌だと思う。あの時代には街に個人経営の店舗が営業しており、人々の生活に密着していた。あの時代への郷愁に胸が締めつけられた。2017/10/15
ぶんこ
52
読み始めは(何だか読みにくいな)と思っていたのに、慣れてきたのか段々面白くなってきました。銭湯と豆腐屋、呑み屋さんのある町が好きな石田さん。ささやかな楽しみを慈しんでいるようでホッコリします。そんな馴染みのお店が閉店していくのは切ないですよね。鳥玄さんの話が印象的でした。慣れ親しんだ常連客のいる土地を離れるくらいなら、まったく新しい仕事をするとは、閉店には個々の店によって色んな事情があるものだと感慨深い。2017/05/19
メイ&まー
21
タイトル通り、閉じてしまったお店のことばかり。店じまいで一冊できるなんてすごいなあとちょっと思う。自分の経験の中でこれだけの店じまいが記憶に残っているだろか。なじみの店にある日突然張り紙がしてあったら、心臓がぎくっとする。口の中がその味になってうきうきと足を運んだのに・・・という持っていきばのない絶望感。ネットでその後を穿鑿してもせんのないことだし。お客の側の「どうして?」に答えて下さっている店主のことばもいくつか載っています。切ないけど味わいも深い一冊でした。2015/03/31
だーぼう
18
20代でもこのノスタルジーを感じ取れただろうけど、ちょっと嘘くさい。今なら自然体で感じ取れる。ブログに感想を書きました。2019/02/11
ばる
15
気づかない間にひっそりと静かにお店を閉めていて、気づいたらビルになっていることなんてよくある。行かなかったという悔しさより、ビルになるまで気づかなかった自分に悲しい。2014/10/25