出版社内容情報
「オルレアンの乙女」として伝説につつまれてきた少女が、教会裁判にかけられ、異端の判決を受けて破門・火刑に処せられるまでの全過程を、第一人者の詳細な調査で明らかにする。
内容説明
古文献の綿密な解読を通してはじめて解明された「オルレアンの乙女」の真実と実像。
目次
ジャンヌ・ダルク処刑裁判の記録(予備審理(一月九日‐三月二十五日)
普通審理(三月二十六日‐五月二十四日)
異端再犯の審理(五月二十八日‐五月三十日))
著者等紹介
高山一彦[タカヤマカズヒコ]
東京都出身。1924年生まれ。1948年東京大学文学部西洋史学科卒業。フランス史専攻。成蹊大学名誉教授。フランスオルレアン市立「ジャンヌ・ダルク研究センター」名誉委員(1974~)
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感想・レビュー
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takao
1
ふむ2025/03/17
j1296118
1
朧気に想像してたより遥かにきっちり尋問もすれば手順踏んでもいたのだな。と思う一方で、両者とも根本的に聞く耳持たんのですねとも感じてしまう裁判記録。 お前が言う聖~は全部悪魔か妄想である、と繰り返し断じていながら「ボールヴォアールの塔から飛び降りたのは聖カトリーヌおよびマルグリットが禁じていた、被告自身それを大罪とも感じていたのに」と論じるのは「自分の妄想の中、自覚し語る部分でさえこの様だ、況や」という意図なのだろうか?2014/09/01
NEWJPB
0
様々なジャンヌダルク紹介本も書いている高山一彦先生の労作。映画の中でジャンヌダルクは、男装の条文を読み上げられるところで処刑のショットに移ってしまうけれども、これを読むと、その時代なりの手続きを尽くしているようにも読めてしまう。一方的な裁判とするには、あまりに多くの人が参加している。そして、完全にはわからないものの、そこには時代の論理があるように感じてしまうのだ。もちろん、最終的には、処刑するという目的は違えなかったのだろうが、手続きそのもののドキュメントとしても面白いと思います。2013/10/23
Yosuke Saito
0
復権裁判と並び、ジャンヌ・ダルクを研究する上で基本となる資料。編者の労作。2011/11/26
kokekko
0
まじめな「調書」。中世の裁判記録の翻訳なのだが面白く読めた。ジャンヌが死ななければならなかったのは、神の唯一の代弁者たる教会の権威を揺るがした所為か。読むと英側の聖職者が予想以上にまっとうな仕事をしていたように思えた。自分自身の感じる神に忠実なジャンヌの態度には、後代の聖書主義に通じるものを感じる。2009/09/30