出版社内容情報
中世ドイツの古都ハルで、市長の娘が二人の貴族と情を交わし、父から廃嫡されかかる。娘は父を訴え、長い裁判が続いた。恋文や裁判記録をもとに一女性の驚くべき人生を再現する。
内容説明
奇跡的に残された史料をもとにひとりの女の驚くべき半生を描いた歴史書の傑作。二人の男と情を交わし、父親と裁判闘争を繰り広げた16世紀の一女性の足跡を克明にたどった本書は、『ニューヨーク・タイムズ』書評で「新しい歴史学の成果」として絶賛された。
目次
第1章 事の次第
第2章 情事
第3章 逃走
第4章 名ばかりの分け前
第5章 弟妹
第6章 証人たち
第7章 教訓
著者等紹介
オズメント,スティーブン[Ozment,Steven]
ハーヴァード大学歴史学教授。数多くの著作があるが、中でもThe Age of Reform,1250-1550はシャッフ歴史学賞を受賞し、全米図書賞の最終候補となった。マサチューセッツ州ニューベリー在住
庄司宏子[ショウジヒロコ]
お茶の水女子大学大学院博士課程人間文化研究科単位取得退学、大妻女子大学比較文化学部講師、アメリカ文学専攻。主要訳書は、J.ベンサム他『ホモセクシュアリティ』(共訳、弘文堂)、K.シルバーマン『フーディーニ!!!』(共訳、アスペクト)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
2
また著者は、人間の精神が、何をもっても癒されることのないダメージを受ける時がある。こうしたダメージにとって、正義とか公平とかいった理想は、無力であると書いたあと熱っぽくアナを支持する。 「歴史にはそういう修復されようのない傷が散らばっている。このようなとき、唯一の救いは、傷ついた者たち自身が、心静かに沈黙することを拒むことである。」 このような明確な著者の視点が、この書を歴史書に留めず、歴史の中で生き抜いた崇高な人間の姿を描いた傑作ノンフィクションに仕上げたのだと思う2005/08/05