出版社内容情報
社交界に君臨するための絶対条件とは? 19世紀小説にはなぜ女中が出てくる? 医者より儲かる薬剤師! これを知らずしてバルザックやフロベールを語れない「風俗ファイル」。【第51回読売文学賞受賞】
内容説明
お針子、門番女、公証人、仕立屋、乳母…バルザックやフロベールの小説に登場するさまざまな“職業”。その知られざる実態を明らかにし、19世紀社会に迫る「風俗ファイル」。
目次
グリゼット(お針子)の恋の行方
末は弁護士か代訴人か
屋根裏の詩人からジャーナリストへ
女優志願
門番女のクモの糸
本物のダンディーの条件
社交界の女王になるには
黒服の悲惨
パンシオン様々
年金生活者の栄光と悲惨〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
29
前作からお気に入りの鹿島氏2冊目。19Cのパリ風俗への造詣と蔵書の凄さで圧倒される脳みそ。薄い1冊だが、近代パリを堪能。嫌いじゃないけど、ゾラ・バルザック・ユゴー・フローベルを読むのは猛烈に体力(知力でなく)が要る。でも、これはあっという間に読める。で、パリを解った気にさせてくれる。日本人にはちと解りにくい職業・・代訴人・年金(利子)で食う身分・高級娼婦・・の解説が興味深い。黒服(専門的秀才バカ?)矜持ゆえか、身を処す手管に稚拙な余り、社会を渡るのがしんどい・・何やら、オーバードクターを思い出させる。2014/05/09
ごへいもち
28
フランス文学は殆ど読まないのに。この人の本が好きで読んでいるので無駄な?知識が増えていく…?2015/08/25
ラウリスタ~
10
主にバルザックを読む時のための副読本かな。門番女(建物の中庭に通じる扉の開閉は彼女の差配)に嫌われると困る(階段をのぼる燭台、真夜中に締め出される)。医者の二段階(ナポレオン時代に軍医を増やしすぎた)と薬剤師の裕福。女中の多様性(プルーストのフランソワーズは料理担当で女中頭、雑用係をこき使う)。パンシオン(寄宿)と年金の項目、文学作品のお金に関する部分はちゃんと読まないと思わぬ誤解を生む。貴族のための乳母になるために、自分の子供はもっと下層の乳母に任せる、乳母市場。職業別に、生理学シリーズのような分類。2019/12/23
おぴよ
3
19世紀のパリに住む、お針子、公証人、女中、仕立屋、端役女優などの生態がおもしろかった。2020/11/18
lionne
3
19世紀初頭フランスの風俗について職業別に綴るエッセイ。この時代を描くフランス文学を理解するのに役立つ内容、というより素材となる職業人の挿し絵を眺めているだけでも楽しい。内容では、この時代の風俗でよく見る高級娼婦について改めて知ることができて興味深かった2011/09/12
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