内容説明
夫と過ごした十八年の日々を静かにふりかえる、感動の書き下ろしエッセイ。
目次
出会いと結婚
執筆の日々(北鎌倉のわが家;パイプ;わが家のオブジェ;宗達の犬と兎のウチャ;澁澤家の食卓;お酒;散歩;喧嘩とお叱り帖)
旅と交友(初の外国旅行;三島由紀夫さん;吉行淳之介さん;石川淳さん ほか)
発病
全集刊行と没後の日々
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
117
作品から滲み出る澁澤氏もすごく好きなのだけれど、やはりご夫婦間での視点はまるで別物。そういう細かなところを知れるというのは、ファンとしてとても嬉しいことだけど、一抹のせつなさも感じた。でも澁澤氏の茶目っ気のある部分なんか、失礼ながら可愛いなとさえ思えてしまう。早死にされてしまったのが今更ながら残念でならない。龍子さんの深い愛情が伺える数々のエピソードは、古いアルバムをめくるように温かい。2013/08/03
青蓮
111
再読。妻である澁澤龍子さんから見た「澁澤龍彦」について綴ったエッセイ。18年間に及ぶ彼との穏やかな結婚生活や錚々たる交友メンバーの記録を見ると、ファンとしては嬉しい反面、何だか切ない気持ちになります。魔術師のように一時代を築いた澁澤龍彦。彼はもういないけれど、残した作品達は今現在も生きている。作品をまた読みながら彼の思考を旅しよう。本を開けば、何時でも彼に会えるから。彼を支え続けた龍子さんにも心から感謝。2016/11/07
鱒子
76
澁澤龍彦夫人のエッセイ。名前が龍子(リュウコ)さんというのが、なんとも縁におもえます。ひとまわり歳の違うご夫婦の愛がたっぷり詰まった本でした。澁澤龍彦氏の仕事ぶりやプライベートが窺えて、興味深く読みました。2021/12/21
しあん
27
ページの一枚一枚に、私が愛する世界が広がっていました。中井英夫や種村季弘、四谷シモンのことが何度も出てきました。季節の移ろいをとても意識しながら暮らしていたという、二人の結婚生活についてのページも愉しく読みました。 2019/10/26
A.T
25
澁澤龍彦の2人めの妻、龍子さんによる思い出の記録。このような本を残してくれて、ほんとうに感謝しかない。今になって作品以外の作家澁澤龍彦の世界、その人らしさを知ることがとても嬉しい体験のように思う。たとえば、1977年、長年の念願のサド侯爵のラコストの城を訪ねた澁澤龍彦。「…かつてサド家の庭園だった、風のひゅうひゅうと吹く、荒れはてた原っぱにしゃがみこんで夢中で咲き乱れる草花を摘んでは次々に花束にし、「ホラ、龍子持ってて」と言った…」短い記述ながら一気に、わたしの意識もフランスの荒野に飛んでしまった…。2025/04/30
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