ゼーバルト・コレクション
鄙の宿―ゴットフリート・ケラー、ヨーハン・ペーター・ヘーベル、ローベルト・ヴァルザー他について

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  • サイズ B6判/ページ数 186p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560027738
  • NDC分類 902.8
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ルソーやローベルト・ヴァルザーなど、偏愛した孤独な作家たち。時空を超え生きる苦悩のごとき普遍的な生々しさが浮かび上がる。

【著者紹介】
1944?2001年。ドイツ生まれ。「アウステルリッツ」で全米批評家協会賞、ブレーメン文学賞を受賞。将来のノーベル文学賞候補と目されながら、交通事故で急逝。

目次

天に彗星がいる―“ライン地方の家の友”に敬意を込めて
この湖が大西洋であってくれたら―サン・ピエール島を訪ねて
なにを悲しむのか私にもわからない―メーリケ追想
死は近づき時は過ぎ去る―ゴットフリート・ケラーについての覚え書
孤独な散歩者―ローベルト・ヴァルザーを心に刻むために
昼と夜のように―ヤン・ペーター・トリップの絵画について

著者等紹介

ゼーバルト,W.G.[ゼーバルト,W.G.] [Sebald,W.G.]
1944年、ドイツ・アルゴイ地方ヴェルタッハ生まれ。フライブルク大学、マンチェスター大学などでドイツ文学を修めた後、各地で教鞭をとった。やがてイギリスを定住の地とし、70年にイースト・アングリア大学の講師、88年にドイツ近現代文学の教授となった。散文作品『目眩まし』(90年)、『移民たち 四つの長い物語』(92年)、『土星の環』(95年)を発表し、ベルリン文学賞、ハイネ賞など数多くの賞に輝いた。遺作となった散文作品『アウステルリッツ』(01年)も、全米批評家協会賞、ブレーメン文学賞を受賞し、将来のノーベル文学賞候補と目された

鈴木仁子[スズキヒトコ]
1956年生まれ。名古屋大学大学院博士課程前期中退。椙山女学園大学教授。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

chanvesa

35
全編に対象との親密さを感じさせるが、特にヴァルザーは祖父との相似を掘り起こすことで、より強烈な思い入れを感じさせる。「ヴァルザーが完璧な同一化と共感によってそれらに魂を吹き込む手つきからは、感情はもっとも瑣末なものに表現されたときにおそらくもっとも深い、ということが図らずともわかる。」(135頁)以降引用されている灰のエッセイは、ちっぽけなものから無限大に拡がる。書くことと人生への対処(129頁)で闘うヴァルザーの本を、ぼろぼろになるまで読み込んでいたゼーバルトも断崖に立っていたのだろう。2015/07/07

みねたか@

30
ゼーバルト・コレクション3冊目。端的に言えば著者が愛した作家や画家についてのエッセイ。しかし、その視線は何処までも深く、作家たちの姿を通してそれぞれが生きた時代における社会のあり様や人間観を描き出してゆく。愛する作家たちを語る筆致は慈愛に満ちて、まるで晩秋の日暮れ時のように時に影絵のように幻想的であり、時に全てが茜色に染められるような荘厳なまでの美しさをたたえる。2023/02/27

Tonex

26
旅行記のようなタイトルだが、著者が敬愛する作家や画家についてのエッセイ集。カフカにも影響を与えたというヴァルザーが気になる。◇ルソーってこんな人だったのかと思ってWikipediaを読んでみたら、とんでもない人だった。知らなかった。2016/03/01

傘緑

24
「物を書くこととは、あっさりと解放されるいとなみではない…言葉の世界に囚われた哀れな作家たちは、しばし読者の眼前に、実生活にはとうてい差し出すことのできない美しさと鮮烈さをそなえた眺望を開いてくれる」孤独な仕事である、書くことの呪いと毒とを一身に帯びた、ゼーバルトの暗い兄弟たち。(ルソー以外全く読んでないことを私は恥じる)薄甘く沈鬱な霧に包まれた挽歌のような文章の二重奏。どこかキニャールの一節を使いたい気がする「絶望し、書く者は片隅で生きる。宙吊りになって、息もせず、語りもせず、だれの言葉にも耳を傾けず」2016/09/28

三柴ゆよし

23
舌鋒鋭く戦後のドイツ文学を批判するラディカルな(という言葉はゼーバルトには似合わないが)『空襲と文学』とは真逆に、こちらは偏愛する作家について滋味深い文章で綴られる、激渋エッセイ集。特にヴァルザーについての文章がよい。とりあげられているのは、いずれも落魄の晩年を過ごした、あるいは現代では忘れられた作家たちであって、にもかかわらず彼らは、書くことの悪癖から逃れられなかった(ヴァルザーは自分を禁治産者にまで追い詰めた)。不慮の事故さえなければ、ゼーバルトもまた書き続けていただろうと思うと、残念でならない。2020/08/29

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