内容説明
ヒトラーとスターリンによる殱滅の応酬を経て、最終章、戦場は第三帝国の首都ベルリンへ…。綿密な調査と臨場感あふれる筆致、サミュエル・ジョンソン賞作家による、「戦争」の本質を突く問題作。
目次
新年を迎えるベルリン
ヴィスワ河岸の「カードの家」
炎と剣、そして「崇高な怒り」
冬季大攻勢
オーデルめざして前進
東と西後方地域の掃討
ポンメルンとオーデル橋頭堡
目標はベルリン
宮廷と参謀本部〔ほか〕
著者等紹介
ビーヴァー,アントニー[ビーヴァー,アントニー][Beevor,Antony]
1946年、ロンドン生まれ。陸軍士官学校に学び、英陸軍将校として5年間、軍務に就く。除隊後は執筆活動に入り、‘The Spanish Civil War’‘Crete:The Battle and the Resistance’‘Paris After the Liberation:1944‐1949’などを発表して高い評価を受ける。『スターリングラード運命の攻囲戦1942‐1943』でサミュエル・ジョンソン賞など多数受賞
川上洸[カワカミタケシ]
1926年京城(ソウル)生まれ。旧制東京大学文学部言語学科卒。スラヴ語専攻。旧ソ連大使館広報部、APN通信社東京支局に勤務ののちロシア語、ポーランド語、英語からの翻訳に従事
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感想・レビュー
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harass
64
再読。約650ページのノンフィクション。復讐に燃えるソ連軍と急進する英米連合軍に追い詰められ、狂信や退廃に混乱するも戦うナチス。1945年1月からの時間を追って、ヒトラーの自殺、無条件降伏とその後までを、全体と無名の人間をも網羅して描く。ソ連崩壊後流出したソ連側の資料を参照し新たな視点を加える。壮絶な殲滅戦で読中に疲れ。実に事実というものの重さ、特に近代戦争の大量死と皮肉めいた巡り合わせの死が繰り返され諦観を抱いてしまう。ここに書かれてないさらに大量の死も。「そういうものだ」としかいいようのない。労作。2017/04/21
Miyoshi Hirotaka
28
20世紀はイデオロギーが猛威を振るった。その最大級の激突は共産主義対ナチズム。ポーランドの分割によりドイツとソ連は国境を接し、不可侵条約というきれいな嘘を経て独ソ戦が勃発。ドイツがソ連で行った悪行も酷いが、ソ連がベルリンに進軍する過程で行った無法は復讐心が加わり悲惨さで勝った。津波が引波の時に破壊力を増すのに似ている。実は、わが国、米国、さらにはローマ教会でさえ反共という点では一致していたが、運命の悪戯により敵味方になり、悲劇を拡大した。大戦中に既に始まっていた米ソ対立は、ソ連崩壊を経てなお続いている。2017/09/19
星落秋風五丈原
18
日本は地続きでなくて本当に良かった。もし大陸と地続きであればドイツと同じ運命を辿っていたかもしれない。それにしても往生際の悪いナチス高官達。ゲッべルス夫人の決断については映画で知っていたけれど、全ての母親が彼女だけにはなりたくないと思うだろう。2015/04/16
うぃっくす
7
あとがき入れて647ページか。長いね。東プロイセン壮絶…。こういう歴史の本ってほとんど読んでこなかったんだけど読まないとなあ…でも辛い…。内部崩壊してるナチの様子とか我先にベルリン入りしようとするスターリンの思惑とかのせいで蹂躙されて亡くなっていく民間人の悲しさよ。うーん…重かったな。ベルリンとかドレスデンとか呑気に観光してたけど土地の歴史を知るのはやっぱり大切なことだね。2021/01/18
ゆずこまめ
5
分量も内容も読み応えたっぷり。崩壊寸前の国で民衆や一般兵士がいかに無力か。ソ連兵の暴力に関しては、ソ連兵に限らないけれども戦争によって個々の兵士の本性が出てしまうのか、戦争が人を変えるのか、どっちだろう。2024/03/02
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