内容説明
知識人の教養書として、古くから読みつがれてきた名著、待望の新訳。巻末付録:アントワーヌ・コンパニョン『フォルチュナ・ストロウスキの後悔』。
目次
第1章 われわれの行為の移ろいやすさについて
第2章 酔っぱらうことについて
第3章 ケオス島の習慣
第4章 用事は明日に
第5章 良心について
第6章 実地に学ぶことについて
第7章 名誉の報酬について
第8章 父親が子供に寄せる愛情について―デスティサック夫人に
第9章 パルティア人の武器について
第10章 書物について
第11章 残酷さについて
著者等紹介
宮下志朗[ミヤシタシロウ]
1947年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授。フランス・ルネサンスの文学と社会、書物の言語態が専門(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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マッピー
19
後半の方が興味深いテーマだったのだけど、何でだろう、なかなか文意が頭に入ってこない。というわけで、付箋は本の前半にばかり付きました。”徳とは、色鮮やかで、強力な染料なのであって、魂が一度それにひたされると、あとはもう、魂もろともはぎ取らないかぎり、その色が落ちることはない。”得ではなく徳を行動原理にしたいと常々思っていますが、難しいですね。自己中ではないつもりですが、好き嫌いが徳の足を引っ張るのです。精進しなくては。2023/03/31
朝乃湿原
11
第3巻はモンテーニュの死生観、学問に対する態度が描かれていて、大変興味深かった。セネカなどの書籍をあらかじめ読んでおいたことで、本書の内容を理解することが少しは容易になった気がする。なんとなく見たことがある文だな、と思って脚注を見てみると、果たして読了した本の文章だった時は嬉しく思う。『書物について』の章では影響を受けた作家の名前がずらりと並ぶ。いつかプルタルコスとウェルギリウスは読んでみたい。『エセー』単体でも素晴らしいのだが、モンテーニュの愛読書を確認してから、再度読むのも良いかもしれない。2023/05/20
singoito2
8
動乱の時代を生きた知識人の内省録。でも、以下のような記述はまるで現代の読メユーザーで親近感を覚えます。「わたしは極端に物覚えがわるい。(略)新しい本だなと思って手にしたところ、その数年前に(略)ということが、何度もある。で、(略)しばらく前からどのような方策を講じているかといえば、書物の終わりに(略)読了した日付と、おおまかな読後感を書き留めている。そうすればあとから、その本を読みながら、著者について、どのようなイメージを描き、どんな印象をいだいたのかぐらいは思い出せると考えてのことだ。」P1822023/11/14
はなよ
8
読み終わった、いや、読み終わってしまった。と言うのが正しいか。次巻が届くまであと3日以上あるから、もっとゆっくり、大切に読もうとしてたんだけど、先が気になりすぎてあっという間に読んでしまった。戦争の章以外、全ての章の一字一句が価値を持っているといっても過言ではないと思う。2017/09/24
amanon
4
三巻目ともなると、そのスタイル…とりわけ西洋史のエピソードに少なからず紙幅を割くというそれにかなり慣れた感が。これまでになくさくさく読み進めることができたのと同時に、格調高い文体を楽しめるようになった気がする。ごくなにげないことをテーマにしていても、そんな考え方があったのか、と思わず虚をつかれるような知見が散見されるのはさすが。その辺りは、繰り返し読んで味わうべき類のもの。そいういう意味で、かの『徒然草』と並び称されるということに改めて納得がいく。とりわけ第2章は酒飲み必読。身につまされることうけあい?2020/11/11