内容説明
モンテーニュのイメージを一新する平易かつ明晰な訳文で古典を楽しもう!「友情について」「節度について」「孤独について」「ことばの空しさについて」「祈りについて」「年齢について」など32編を収録。
目次
真偽の判断を、われわれの能力に委ねるのは愚かである
友情について
エチエンヌ・ド・ラ・ボエシーによる二九篇のソネット―ギッセン伯爵夫人、マダム・ド・グラモンに捧ぐ
節度について
人食い人種について
神の命令に口出しして判断するのは、慎重にしなくてはいけない
命を犠牲にして、快楽から逃れること
運命はしばしば、理性とともに歩む
われわれの行政の欠点について
服の着用という習慣について〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マッピー
15
全体として、ギリシャ・ローマ時代の偉人の言葉を引き合いにして語られるモンテーニュの思想は、哲学より歴史の面白さを感じられる。フランス語で歴史をなんというのかは知らないけれど、英語のhistoryとはまさに、彼の話ってことで、何年に何があったかではなく、だれがいつ何をしたかってことなんだな。(中国の歴史もそうだよね)でも結局偉人の言葉からのあれこれは、あんまり刺さらなかったなあ。セネカとかウェルギリウスが何を言おうと、他人事として面白いだけなんだなあ。2023/03/21
いとう・しんご singoito2
10
モンテーニュは織田信長より一歳年長。オリジナルは活版印刷なので、当時の日本の書籍よりははるかに読みやすいけれど、綴りや語法は日本語ほどではないけれど、かなり時代ズレしている。そのようなテキストを現代日本語に翻訳することは、古い言葉を現代に読み替え、その上で日本語に読み替えるという2重の作業が必要になる。本書の宮下や青空文庫の関根は、たくみな日本語を操ってそうした困難を上手にクリアしていて、その結果、モンテーニュの文体の特徴や思想上の微妙さがとてもくっきりと伝わってくる。2023/11/14
吟遊
8
Aでもない、Bでもない。Aかもしれない。Bも起こりうる。……古今東西の出来事を、博識の利で自在に引用しながら、結論へ収束しない思考の「試み(=エセー)」をなしてゆく。ここにある「退屈さ」も古典の証なのだね。2016/11/29
朝乃湿原
7
なんとなく第一巻よりも読みやすく感じた。古代の文献の引用と、モンテーニュの本文の配置構造に慣れてきたからかもしれない。今回からメモをとるようにしたので、読了まで時間がかかってしまったが、人間の内面についての様々なモンテーニュの見識に触れることができた。『人喰い人種について』の章では、「野蛮」という言葉について考えさせられた。また『ことばの空しさについて』の章では「神」の名称を安易につける現代日本の愚かさを再確認できた。『友情について』の章では、完璧な友情とは分割不可能であることを理解した。短い章ながらも2022/12/20
amanon
6
文体やそのスタイルに馴染んだためか、1巻よりは楽しめた気がする。ただ、その内容は殆ど頭に入らなかったが(笑)。ただ、非常に機知に富んだ記述や、繰り返し読むに価する知見が述べられていたという印象はある。1巻の感想でも触れたが、とにかく初期ヨーロッパの歴史的事実への言及があまりに多いのには、やはり躊躇を覚える。他の人も述べているとおり、注釈は章末ではなく頁末にしてくれたらありがたい。また、よく意味が理できず、字面を追うだけだった箇所も少なくないので、いずれ再読したい。巻末近くの「祈りに〜」が重たかった。2020/10/08