感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田蛙澄
1
客観的経験の側面からショーペンハウアーがどのように知性と意志を見ているか、特に知性と脳髄との関係を知りたくて読んだが、その点ではいささか実りは薄かった。ただ、無機物から動植物、人間へと意志の客体化の階梯を述べていく下りはわくわくする。シナ学についても、当時の彼が意外と詳しく中国関係の書籍を読んでいたことが分かる。また動物磁気や催眠術、魔術などが形而上学的な意志作用であるという話は魔術理論として面白い。この本だけからだと意志は形而上学的エネルギーと思えるが、もっとドイツ観念論的に考えるべきだろう。2016/10/16