出版社内容情報
同じ社会のメンバーとは誰か?
ここにきて移民/難民に関する議論が本格化しつつある。今夏の参院選では移民規制が大きな争点となった。
ところが、日本での従来の議論はグローバル化や経済的要請にもとづくもので、どうしても皮相なものになりがちだ。
政治的・社会的な背景が考慮されないままに話が進んでしまっているのである。これでは、「ポピュリズムの仕掛人」によって足元をすくわれる危険もある。
こうした懸念を払拭すべく、移民論の哲学的・社会科学的な基礎を構築するのが本書である。
他方、本書ではリベラル・ナショナリズムという観点から移民論に迫るのが特長だ。同じ社会のメンバーとは誰のことなのか? ネーションに基づく集団的自律はどこまで擁護できるものか? 社会的包摂の望ましいあり方とはいかなる形か? 徹底的に掘り下げている。
また、国民国家、移動と帰属、ナショナル・アイデンティティなど、社会科学上のキー・タームを用いながら、移民論の交通整理をしている点がこれまでの類書にはない本書の大きな強みになっている。
経済効果と外国人嫌悪で引き裂かれた移民論について、法哲学者がメスを入れることで開かれる議論の地平!
【目次】
内容説明
ネーションに基づく集団的自律はどこまで擁護可能か?社会的包摂の望ましいあり方とは?経済的利益と排外感情に引き裂かれる外国人移民問題の論点を整理し、処方箋を提示する試み―
目次
第1章 ネーションの法哲学―リベラル・ナショナリズムの再定位(リベラル・ナショナリズムとは何か;ネーション論の拡散 ほか)
第2章 移民正義論を考え直す―開放国境論の正否(移動と帰属―移動するエリートたちの悲哀;移動は権利である―開放国境論 ほか)
第3章 同じ社会のメンバーとは誰か(国境の正当化―デモスの範囲をめぐって;平等論からメンバーシップを考え直す ほか)
第4章 移民正義論の試練(難民をいかに受入れるべきか;不法移民をどうすべきか)
第5章 外国人労働者と多文化共生―シンガポールの教訓(シンガポール統合の光と影;階層化される外国人労働者 ほか)
著者等紹介
横濱竜也[ヨコハマタツヤ]
1970年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在、静岡大学学術院人文社会科学領域教授。専門は法哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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