出版社内容情報
膨大で手強い著作の何からどう読むべきか、彼の思想の核心を押さえる最良の航海図。
【著者紹介】
1959年生まれ。パリ第一大学哲学科博士課程修了(哲学博士)。立教大学教授。著書に『〈呼びかけ〉の経験』『新・サルトル講義』など。
内容説明
伝統的な哲学の問題系を引継ぎつつ、常にアクチュアルな事象に接続する現代最高の哲学者ナンシー。膨大で手強い著作の何からどう読むべきか、彼の思想の核心を押さえる最良の航海図。
目次
第1部 特異存在と共同性(バタイユとブランショとの往還のうちで『無為の共同体』;主著というべき本格的哲学考察『自由の経験』)
第2部 イメージをめぐって(現前としての像『イメージの奥底で』;視線の問題『肖像の眼差し』)
第3部 世界とは(キリスト教とイメージ『訪問』『私に触れるな』ほか;キリスト教の脱構築『脱閉域』)
著者等紹介
澤田直[サワダナオ]
1959年東京生まれ。パリ第一大学哲学科博士課程修了(哲学博士)。立教大学文学部教授。専門はフランス現代思想、フランス語圏文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kasim
30
第1部は共同体、第2部はイメージ、第3部はキリスト教。一見バラバラのようでいて、ものごとに本質はなく分有だけがある…という根っこでつながり、一神教は無神論である、という驚きの認識にまで行き着く。とても難解だが、著者の誠意ある書き方が嬉しい。思想史を自在に換骨奪胎する手並みは重厚で、デリダに近いのは分かるものの、カントやヘーゲルからきちんと理解していない自分には高嶺の花だ。日本語のナンシーの解説書が増えてほしい。2019/03/01
またの名
10
思いがけない別の語と途中で語が関連したり意味が流動的にズレてしまうので訳者は二重ハイフンや造語に頼ると言われても、「肖像[=反復](ポルトレ)ー復元ー模型(モデル)」とか言語になってない呪文はどうにかならないのか定期。何かの集まりで会話についていけず疎外感を抱くよそ者が反対側からは外国人や侵入者として見えるが思想家ナンシーは実際に心臓移植して自己のど真ん中に異物侵入を受けた経験を哲学し、特異な存在と呼ばれる個人が作る共同体や自由などを論じる。あらゆるイメージに先立つ像の自己提示や裸の真理などの美学も構築。2019/09/12
Bevel
6
なんでもいいから対象を取る(主体、作品、現象)。すべてが関わる次元は、それが成り立っている条件に関わる外側(運命、無為、存在)である。この外側のレベルはぐちゃぐちゃしててお互い分有してるから、いつも見てる対象から外側へと視線を変えればフィーリングで共同体できるよねって話に見えた。よくわからない。2013/02/23
はゃゃ
2
ジャン・リュック・ナンシーの入門書というものが現在これしか無いので非常に助かった。なかなかにハイデガーの影が色濃い。2014/09/17
HAL9777
0
浩瀚なナンシーの著作に通底する「露呈」と「退隠」の絡み合い、「意味(sens)をめぐる問い」がきれいにまとめられていてとても良かった。2024/03/06