出版社内容情報
ミハイル・バフチン(1895-1975)は、文芸学、言語学、哲学、文化人類学、カルチュラル・スタディーズ、教育学、精神医療の実践等々、じつにさまざまな領域で世界的な影響を与えてきた点で、「ロシア」の思想家・哲学者としては稀にみる存在だといってよい。こうした影響力がその思想の豊かさを証すのは言うまでもないが、おしなべて「古典」がそうであるように、バフチンもまた時間的偏差をもって繰り返し(再)発見される思想家だ。
そのバフチンを新たに読み直すために本書が立てる軸は、出来事、言語、身体である。バフチンの著作をよく知る読者の目には、不穏なほどに穏当に映るだろう。マレーヴィチをロシア・アヴァンギャルドから解放し、博覧強記のエイゼンシテインのイメージ論を詳らかにした著者は、最新の研究成果を余すことなく織り交ぜ、バフチン思想が展開する時・場の知的・文化的背景を繙きながら、「バフチン以後」の直接ないし間接的にバフチンに関係する、あるいはまったく関係しない思想(家)や創作(物)を縦横無尽に交錯させることで、大胆かつ細心、緻密でありながら野蛮に、まだ見ぬ「バフチン」を立ち上げる。
【目次】
緒言
第一章 出来事
1 サークル的知
ネヴェリ/運動としての文化/ネヴェリ・サークル/『芸術の日』
2 存在 = 出来事
『責任の建築術』/対自的自己/出来事/行為、価値
3「私」から
具体性の建築術/実践の倫理学/共体験
4 言語論への前哨
言語論的転回へ向けて/内的言語形式
第二章 言語I
1 三つの前提
プンピャンスキイ「事件」/論議のあるテクスト/言語論的転回、術語問題
2 言語学批判
社会言語学、東西文学・言イ語ヴズャ比リ較史研究所/発話、言語の階層性/他者の言葉/メタ言語学
3 対話論(一)
対話の構成的構造/対話論の参照項/対話における他者
4 イデオロギー・交通
イデオロギー学/日常生活的イデオロギー、言語的交通
5 心理学批判
内言/フロイト主義批判
第三章 言語II
1 対話論(二)
二声・異方向・能動性/ドストエフスキイの対話学/ポリフォニー
2 長編小説というジャンル
ジャンルの記憶と大きな時間/長編小説の言葉
3 クロノトポス
長編小説におけるクロノトポス/クロノトポスの類型学
4 ロシア・フォルマリズム批判
形式化という問題/詩的言語、手法/文学史
第四章 身体
1 カーニバル
狭義のカーニバル・広義のカーニバル/「民衆」とは?
2 笑い、広場、饗宴
笑い/広場/饗宴
3 グロテスク
グロテスク概念/身体のトポグラフィ/垂直軸から水平軸へ/下降運動・下方志向
4 ラブレーの「リアリズム」
三つの景と綽名/言葉のカーニバル/ラブレーの言語論/言葉遊び
結語
註
あとがき
参考文献一覧/略年譜/術語・事項索引/人名索引
内容説明
新たに/改めて姿をあらわすミハイル・バフチン―最新の研究成果を踏まえ、出来事、言語、身体を軸に、コンテクスチュアルに、アクチュアルに、縦横無尽に語り尽くすロシア・アヴァンギャルド研究の泰斗による、マレーヴィチ、エイゼンシテインに続く圧巻のモノグラフ。
目次
第一章 出来事(サークル的知;存在=出来事;「私」から;言語論への前哨)
第二章 言語1(三つの前提;言語学批判;イデオロギー・交通;心理学批判)
第三章 言語2(対話論(二)
長編小説というジャンル
クロノトポス
ロシア・フォルマリズム批判)
第四章 身体(カーニバル;笑い、広場、饗宴;グロテスク;ラブレーの「リアリズム」)
著者等紹介
大石雅彦[オオイシマサヒコ]
1953年生。早稲田大学大学院文学研究科博士課程退学。博士(文学)早大。早稲田大学名誉教授。専攻 ロシア・アヴァンギャルド、文化記号論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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