目次
文学と悪
内的体験
空の青
有罪者
エロティシズム
ドキュマン
呪われた部分
アセファル
ラスコーあるいは芸術の誕生
ニーチェについて
太陽肛門
エロスの涙
著者等紹介
酒井健[サカイタケシ]
1954年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業後、同大学大学院に進学。パリ大学でバタイユ論により博士号取得。法政大学文学部教授
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感想・レビュー
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ヨッフム
16
キリスト教、唯物論、物質文明、論理で証明される事柄と、そこに権威を見いだし、生を吸い取られていく人々を、徹底的に批判するバタイユのラディカルな思想にドキドキ。生命は、定型を得ると、その躍動が失われるため、バタイユの思想は、定型を半壊させる(全壊させると死んじゃうので)ことで生を謳歌することを目指します。しかし、目指すという目的化にそもそも定型性が宿ってしまい、自分の内部の無秩序・混乱を書くにはどうするか、という複雑な話が展開されていきます。理解できた範囲は半分に満たず。謎の魅力で、貪るように読みました。2015/02/02
袖崎いたる
6
読んだ。土曜の午後の四時間。『鬼滅の刃』の最終巻によって、幸せってなんだろうな〜とか考えていたところに、バタイユの幸福観が刺激になった。バタイユは革命家なので、いまいち哲学者として、思想家として、みたいに読めないところがある。たとえばマルクスは思想家に近い。サルトルは哲学者だろう。しかしバタイユは革命家なのだ。彼の概念や文体にしてもそうで、じつに不定形な振る舞いをする。詩人と呼ばれても構わないほどだ。文学者とも宗教家とも見える。だけれど、読んで感染させてくる「非-知」の塊りは革命家のそれ。著者もその一例。2020/12/12
世界神経症
2
バタイユに興味があり、まずはバタイユの概観が摑めればと本書を読了。面白かった。バタイユの絶えざる真実味を帯びたものを笑い飛ばそうとすること、破壊を破壊たらしめること、擾乱の最中に身をやつすことなどというのが根底にあるテーマかと思ったが、〈好運〉というのがなかなか興味深い。徹底的な個体の破壊、ではなく、個体への執着を捨て去る、というのがその思想の基軸にはある(そうでもなければ交流もかなわないのだろう)ことに読んでいる最中に気が付いた。2022/04/06
新谷
1
形への反抗。これがバタイユの著作を一貫するテーマであるらしい。 そしてこれは「存在することの肯定」と表裏一体である、とても宗教的な在り方である。 実際バタイユは「アセファル」という宗教団体を設立しているのだが、面白いのはこの宗教団体という在り方さえ組織や教義の名の下での一つの「有形化」でしかなく、バタイユも早々にそれに気づき、これを解散させているのである。 このように形にとどまることを拒絶していくと、「これはこのようにある。」と言う表現しかできなくなる。 かくしてそれは「存在肯定」へつながるのである。 2017/09/24
ULTRA LUCKY SEVEN
1
サッと読めます。バタイユの本は解説はいらないのでなるべく本人の本を読んだ方がいいが、これはちょっと格別。筆者の書き方が面白い良書です。2010/06/21