出版社内容情報
切腹、惨殺、狂死に情死――。権力に翻弄された芸術家の理不尽な受難や自業自得のスキャンダルなど、日本美術史上「事件」と呼びうる出来事に鋭くメスを入れた、著者渾身の書き下ろし23篇。
内容説明
切腹、惨殺、狂死に憤死…権力に翻弄された芸術家の理不尽な受難、はたまた自業自得のスキャンダルや国際的センセーション。近古から現代におよぶ美術史上の「事件」と呼びうる出来事に鋭くメスを入れる、渾身の書き下ろし23編。
目次
1 近古篇(伝藤原信実「三十六歌仙絵巻」―顔のない小野小町と絵巻切断事件;千利休―秀吉に翻弄された大茶人の自死 ほか)
2 江戸前期篇(尾形光琳・乾山―兄のパトロン汚職事件と弟の謎の晩年;英一蝶―流刑絵師の逞しき生涯 ほか)
3 江戸後期篇(喜多川歌麿―美人画絵師の非業の政治死;葛飾北斎―人気絵師、突然の相州潜居の謎 ほか)
4 近代篇(月岡芳年「美立七曜星柳原愛子」―宮中閨房図事件;横山大観「屈原」―名画に込められた師の不運 ほか)
5 現代篇(津田青楓・福沢一郎・井上長三郎―前衛美術の抵抗と妥協;藤田嗣治―戦争画の栄光と悲惨 ほか)
著者等紹介
瀬木慎一[セギシンイチ]
1931年東京生まれ。1950年代から美術評論に携わる。近・現代美術を専門とし、ジャポニスムと美術社会学の研究でも知られる。多摩美術大学、東京芸術大学などで教えた。現在、総合美術研究所所長
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感想・レビュー
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舟華
1
日本美術に特化したこういった本って珍しい気がするな、とウキウキしながら手に取る。ひとつひとつがだいたい10ページ前後なので、文章が少しかたくても読みやすく取っつきやすい。20年くらい前の本なので、現在では違う見方も多いとは思うけど、やはり美術は時代と共に生まれ時代と共に生きていたことを実感する内容だった。作者の性質、時代背景・空気感で運命が決まってくる感覚が強い。まぁ政治的背景が大きいかな。大昔から岡本太郎の時代まで網羅した本。2023/05/29
しゃむ・しゃむ
0
日本美術史上の事件を追うネタ本。美術とあるが、千利休などの茶人の去就にも触れている。幕末好きなので冷泉為恭の事件は興味をひいたが新しい情報はなかった。個人的な問題で犯罪に巻き込まれる芸術家より、政治的な問題で罰せられる人が多いと感じた。現在編の加藤唐九郎の話は、筆者が直接関わっているので面白い。2017/08/20
ぶちたろう
0
美術とは人が創造するものだからそこに作者との切れない関係がある。最後の岡本太郎の章は、岡本自身が事件的な人物という評が面白かった2021/01/10