出版社内容情報
農法は土との取り組みにおける人のあり方の理念である。人の欲望を土に向けて放ち、そこに超ええない則をさとることによって人の存在の永劫を得ようとする。そこに概念としての〈技術〉はない……。
目次
序章 進歩のさ中に立ち止まって
第1章 まず技術の概念を考える
第2章 「つくる」の意味
第3章 農の学問と農民
第4章 農法の流れ
第5章 耕すと起す
第6章 西洋の土
第7章 農法と技術
第8章 土の意味
終章 超えられぬ則をさとって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
里のフクロウ
3
元来日本の思想界には技術論は馴染みがないと聞く中、とりわけ異質な農業界であるが、その論理の切り口には、日本農業の根源に迫る鋭いものを感じさせられた。明治初期まで伝承されてきた「農法」のもつ意味に大いに気付きを得ることができた。明治近代化が西洋農学を無批判に導入した結果としての農法との断絶。「作り回わし」を知ることにより、輪作思想が世の東西を通じての真理であったことが判る。反面、西洋の耕作機械は日本に不適合であることが、東西の土壌の違いを知る英知を換起する。農業論に新基軸をもたらしてくれる良書である。2016/11/20
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