出版社内容情報
雨の多い東南アジアと違い、日本では雨を頼りにしているだけでは稲は育たない。溜池や川の水を用水で引き込み、田から田への〈田越し潅漑〉で分かち合い、使い回す。農村の助け合い精神を育んだ潅漑の歴史。
内容説明
1枚1枚の田にうまく水を引こうとすることが国の仕事にまでなってしまうとは、灌漑とは一体どのような仕事なのでしょうか。おかあさんと同じで、農家の人々も自分の仕事の意味を自分からはあまり話しません。この本では、灌漑工事の仕事や研究をさせていただいている私が、農家の人々の代わりのつもりで、お礼の気持ちもこめて書かせてもらいました。
目次
水がなくなれば植物は枯れてしまう
雨を頼りにするだけでは稲は育たない
水田の誕生
灌漑によって人は深く結びつく
水の分配をめぐる争い
力を合わせて新しく水を引く
ため池が人々の生活を支える〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワタナベ読書愛
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1989年刊行。お米を作るために、水路をつくったり、田んぼに水をためる仕組みや、多くの田んぼに順番に水を入れていく方法を、私たちのご先祖様は、いろんな苦労をしながら開発してきた。田んぼの灌漑について、絵を見たらわかるようにした親切な学習絵本。今では水道などが整備されていて、用水路などもあるので、なかなか当時の苦労は想像できない。ご先祖様が喧嘩しながら、どうにかこうにか生き抜いてきたお陰だ。水の権利争いの場面を見ると、イヤなヤツでも一緒に生きていかなければならなかった農民たちの大変さが思いやられ、合掌。2023/09/07