出版社内容情報
経済成長が最優先されたあの頃、昭和30~50年代の村では、鳥獣害に悩みながらも焼畑で生計を立て、祭りに願いを託した人びとの「ふつうの暮らし」があった。
宮本常一が所長だった日本観光文化研究所に所属し、日本全国の村で「あるくみるきく」ことを誠実に続けてきた写真家、須藤功による写真エッセイ。宮崎県西都市の「銀鏡神楽」、同県西米良村の「焼畑」、愛知県東栄町の「シシウチ」、三信遠の「田遊」「田楽」、アイヌの「イヨマンテ(熊送り)」…二度とふれえぬ時代の光景が、そこにある。
【目次】
■第一章 笛太鼓がさわやかに響く山村
1 川と山と畑作物/2 阿弥陀如来に捧げる/3 田植と畑作物
■第二章 山の暮らしを支えた焼畑
1 山地を拓いて種を蒔く/2 椿山と米良山の焼畑/3 再現されたアキコバ /4 子ども焼畑体験学習/5 奥三河の焼畑の記録/6 南信濃南部の記録/7 遠江の焼畑の記録■第三章 暮らしを語るまつりと芸能
1 まつりに探る焼畑/2 まつりが語る食生活/3 花祭を読む
■第四章 米のご飯を食べる習俗
1 米の音で蘇生/2 葬式の食と習俗/3 楽しみと占い/4 大盛りの米飯
■第五章 木の実も獣も山の幸
1 山村の身近な獣/2 獣捕獲の変遷/3 島に潜む猪/4 猪を食する/
■第六章 獣にまつわる祭事と芸能
1 アイヌの熊送り/2 獣に弓矢を放つ祭事 /3 銀鏡の猪と祭事/4 椎葉神楽と猪/5 大隅半島の猪/6 沖縄の猪の祭事
■第七章 花と風雨と神仏への祈り
1 花に寄せる望み/2 南九州の祭事/3 島人の感謝と祈り/4 願いと供養碑