出版社内容情報
種苗法とはいったいどういう法律で、改定のねらいはどこにあるのかをわかりやすく解説する。その上で、焦点となっている品種の海外流出防止と農家の自家増殖の制限をめぐる論点を整理し、両者を分けて考えることで、農家の自家増殖の権利を守る道をさぐる。その際、社会的共通資本としての農業という視点から、品種は本質的にそれを支える共有材であり、個人や企業に属する知的財産とは異なるものであるという視点に立つ。
目次
早わかり種苗法―基礎知識と論点整理(Q&A 種苗法改定これだけは知っておきたい10のポイント;生みの親に聞く種苗法誕生秘話;「育成者の権利」に対して「農家の育種の権利」が軽視されすぎている)
農家、育種家に聞く(タネ採りは栽培の主役 遠ざければ作物の全体像がわからなくなる;有機農業にとって自家採種とタネの交換はなぜ必要か;農家・研究所・メーカーの協同で育てられてきた種子 種子と種苗の未来のために―農家と試験研究機関、日本と海外が交流しながら;総合種苗メーカーはいまどうなっている?―「サカタのタネ」に聞く)
種は知的財産か公共財か(知的財産権偏重で持続性は守れるか;農業・農村が社会的共通資本であってこそ守られる種子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
68
図書館本。 畑が花畑に…、1つは怠け者の畑、1つは種苗業者の畑、1つは岩崎政利さんの仲間の畑。個人的には市民農園の怠け者の畑から種を採取したい気持ちでいっぱいなのだが…、勝手に採取したらルール違反ですよね。ということは私は種取するということで岩崎政利さんの仲間にカテゴリーされるわけだ…!種苗業者が農家に種取を委託したり原産地に近い風土の国で種取したりと種苗業者がらみの初耳情報てんこもりでした。2023/10/30
ichigomonogatari
10
種苗法が改正された。何がどう変わったのか。種苗の海外流出防止のために育成者権を強化したが、この本によるとそれでは海外流出は止められないのだという。そして問題になっているのが農家の自家増殖の原則禁止で、この二つのバランスをとることが必要らしい。農作物や種苗は自然に左右され工業製品のようには扱えない。育成者権も大切だが企業が特許を取り独占するものではないだろう。種苗は人類の社会的共通資本だという主張に共感した。種が農作物を実らせなければ人類は生きていけない。平易な文章でとても面白かったが、問題は複雑。2021/02/07
はやたろう
3
種苗法の問題と、その影響を受けるという自然農法を営む農家の声、世界の動きを解説。有機農業をする人たちのことを政府は考えてないのかな。2021/06/18
Go Extreme
3
生命としての種 早わかり種苗法ー基礎知識と論t年整理:種子法 海外流出 自家増殖制限 自家採種 種苗法改訂 芽挿し F1 登録品種 購入 グローバルスタンダード 農家、育種家に聞く:タネ採りは栽培の主役、とうざければ作物の全体像がわからなくなる 有機農業にとって自家採種とタネの交換はなぜ必要か 一種二肥三作り・種苗に果たす農家の役割 農家と試験研究機関、日本と海外が交流しながら 種は知的財産か公共財か:知的財産権偏重で持続性は守られるか 農業・農村が社会的共通資本であってこそ守られる種子 2021/02/11