目次
序章 ムラ、むら、邑
第1章 窪川原発騒動の顛末
第2章 窪川のむらざとにて―人びとの生業
第3章 語りと余韻―島岡幹夫と邑の断片
第4章 邑の象徴―野坂静雄とその精神の遍歴
第5章 原発計画をもみ合う、原発計画をもみ消す
結びとして
著者等紹介
猪瀬浩平[イノセコウヘイ]
1978年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。大阪大学人間科学部卒業後、見沼田んぼ福祉農園の活動に関わり、営農集団「見沼・風の学校」を2002年に結成。2007年に東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。同年明治学院大学専任講師に着任。2010年から同大学准教授。専門は文化人類学、ボランティア学。NPO法人のらんど代表、NPO法人こえとことばとこころの部屋理事、明治学院大学国際平和研究所所員などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
40
見捨てられている地域と思うのは、その先に道路がないこと。原発があれば繋がっていたということ。原発以外の産業が興されていれば道は開削できたとも思えるが? ともかく、現地の人ぐらいしか知らないような地域問題にスポットをあてた労作。ムラがムラとして機能しながら、国策共同体を拒絶することはないのか。国策共同体に対峙する自立した個人の共同体が本当に存在しているのか(12頁)。原発騒動の時代を生きた人びとの現実。外部からの巨大圧力のなかで、ムラがどう存在しうるのかを具体的に記述し、問うことが本書の目的(25頁)。2016/03/28
かんがく
12
高知県の窪川は親戚が住んでいるため訪れたことがあったが、原発については知らなかった。原発推進VS反対という単純な構図ではなく、「むら」という共同体に注目。様々な人物を取材することで多面的な実情が見えてくる。農業の衰退、エネルギー政策、補助金行政など、本書が映し出す問題は広い。2021/01/30
サカナ
1
泥臭くて、心に余裕があるときに再トライいたします。。。2021/10/04
ヨードー
1
命がけで反対したのは、想像できない程の勇気がいったと思う。美しい村が残せてよかった。しかし、電力会社の人は本音のところはどうなのかといつも考える。イヤーあれは本当にヤバいと思いつつ仕事だから推進しているのか、いやいやあれほど優れた発電はないと確信しているのか、どうなんでしょう。2019/02/10
3000
1
日本語において「もめる」は「もむ」を可能動詞として変化させた形でもありうる。可能動詞「もめる」の主語を一人称複数系「わたしたち」にすることが、民主主義の成立する必要条件であり、現代の国家においては辺境とされる場所においてこそ、そのような条件が成立しうることが示される。熱い一冊。2015/12/22