内容説明
「近代化を阻む壁」とみられてきた共同体が、自然と人間の関係から未来を切り拓く可能性としていま、鮮やかに浮かび上がる。著作集収録にあたり、「補章 共同体と経済の関係をめぐって」を書き下ろし。ほかに「市民社会と共同体」ほかを収録。年譜付き。
目次
著者解題 結び合う世界を求め続けて
共同体の基礎理論(現代社会と共同体;日本の伝統的な共同体を読み解く;共同体のかたち;日本の自然信仰と共同体;都市型共同体の記憶;共同体と近代国家;共同体の基礎理論に向けて;共同体と経済の関係をめぐって)
市民社会と共同体
社会デザインの思想―「個の知性によるデザイン」から「関係によるデザイン」へ
著者等紹介
内山節[ウチヤマタカシ]
1950年、東京生まれ。哲学者。『労働過程論ノート』(1976年、田畑書店)で哲学・評論界に登場。NPO法人・森づくりフォーラム代表理事。『かがり火』編集長。「東北農家の二月セミナー」「九州農家の会」などで講師を務める。2010年4月より、2015年3月まで立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
31
個人が自立し、自由で個性豊かな生き方ができる社会として、市民社会が語られるようになった(013頁)。この間の観光講演では団塊世代にして東大法学部卒だったから噛みついたけどね。市民社会から、コミュニティ=共同体が輝きをみせる時代へ(014頁)。江戸期の文化は、文をもって明らかにするという意味だった(018頁)。共同体への問いは史的、時代的文脈で語る課題(039頁)。日本のコミュニティは、人間の協力関係をつくりだすという関心にもとづいて進めようとしている活動で、社会組織の模索(094頁)。2016/06/25
さきん
22
自由で自立した人から個性、個人が磨かれるのではなく、コミュニティ、関係性から個性が育まれるという考え。また、そのコミュニティ、共同体はあらゆる関係性を含み、自然も含まれるということ。その自然は人間が働きかける里山が一例。自然を損なえば、個性を育む土壌も損なわれるということ。この考えには大きく同意。しかし、この共同体を作るにあたって著者は、資本主義の論理をはずしたがっているが、自分は、なんとか貨幣が入っても上手く回る仕組みを作りたい。2018/02/11
余田大輝
0
著者に影響されているがゆえなのか、半世紀の歳の差でも同じような社会を見てきたがゆえなのか、コミュニティという言葉に対する私の違和感は次の2点に集約されているように思える。 >コミュニティ=共同体を機能論的に措定しすぎているのではないかと感じている(p.15) >ひとつのものにすべてが結合されている状態という古い共同体のイメージは一掃されなければならない(p.181 ) そう考えるとコミュニティデザインは語義矛盾なんだけど、それでもデザインできる領域は何か考えるということから始まるんだろうな。2021/09/29