内容説明
現代の戦争は現代的システム下のさまざまな労働を総動員する形で進められる。戦争を、そこで行なわれている仕事という視点からとらえ、現代の仕事に共通する病理をあぶり出す。ほかに「戦争の世紀」「歴史の変わり目を感じる」を収録。
目次
著者解題 戦争からみえてくる現代の労働と経済のかたち
戦争という仕事(戦争という仕事;政治という仕事;経済という仕事;自然に支えられた仕事;消費と仕事;資本主義と仕事;社会主義が描いた仕事;近代思想と仕事;基層的精神と仕事;破綻をこえて)
戦争の世紀
歴史の変わり目を感じる
著者等紹介
内山節[ウチヤマタカシ]
1950年、東京生まれ。哲学者。『労働過程論ノート』(1976年、田畑書店)で哲学・評論界に登場。1970年代から東京と群馬県上野村を往復して暮らす。NPO法人・森づくりフォーラム代表理事。『かがり火』編集長。「東北農家の会」「九州農家の会」などで講師を務める。2010年4月より、2015年3月まで立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アナクマ
24
ギョッとする書名ですね。1章。「地域ごとに独立してつくられていた関係的世界を解消しながら、すべての人々が国民として一元化される体制をつくりだそうと」する「正義」。自由・平等・友愛という理念の「特別な権利」性。これらを絶対視する先に「戦争という仕事」があると言います。◉怖い話です。私たちは自然環境と対峙したとき「美味い魚が食べたい」と希望しても良いはずですが、それを「権利」としたとき地続きにある「戦争の論理からは、勝ちも負けもない世界のあることがみえてこない」。また、ひたすらな個人主義の弊害についても。→2022/03/18