内容説明
戦後に生まれ、高度成長期に少年時代を迎えた世代にとって、戦後社会・戦後思想とは何だったか。「民主的」な戦後社会に潜む管理と自由の喪失をあぶり出す。ほかに「合理的思想の動揺」「日本の伝統的自然観について」を収録。
目次
戦後思想の旅から(戦後的思想の形成;戦後史における社会主義思想;現代における人間の問題;新しい思想を求めて)
合理的思想の動揺
日本の伝統的な自然観について―基層的な精神と現代の課題
著者等紹介
内山節[ウチヤマタカシ]
1950年、東京生まれ。哲学者。『労働過程論ノート』(1976年、田畑書店)で哲学・評論界に登場。NPO法人・森づくりフォーラム代表理事。『かがり火』編集長。「東北農家の会」「九州農家の会」などで講師を務める。2010年4月より立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
26
内山先生は心情を吐露される。「自立した人間として生きようとするとすればするほど個人主義的になってしまう状況、その結果として訪れる孤立と疎外、たとえ意識においては社会から自立しえても現実の行動は社会のなかに取りこまれていくしかない虚しさ、私にとって戦後とはこういうもの」(030頁)。どこか先ほどまでアップしていた鶴見俊輔先生の思想にも通底するところがある。民主主義とは、多数が勝つ制度でしかなかった。しかも多数派なる手段は正しさではなく利益だった。現実は汚れた民主主義と多数派の横暴(054頁)。2021/06/11
武井 康則
8
戦争が終わって反省から政治的なものが求めらえ、社会主義が注目される。それが金銭闘争になり、満足感のなさを疎外と名付けてそれも社会主義が解消してくれると妄信する。著者は1950年生まれ。団塊世代で全共闘世代。飢えて子を売り、戦時中は死ねと言われたのが、モノが充実すると拝金主義だ云々だとよく言うよと今では思ってしまう。信濃毎日新聞に週一で連載されたので章の量が決まっている。結局80年代に入って山村だの共同体だのの思想と言い出す。結局SDGsかよ。80年に席巻したのは構造主義だろ。2025/04/15